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 「何なんだよ、あんた...っ!!部外者のくせにヒーロー気取りか」  「早く来い!さっき騒ぎに気がついた女が通報してた。さっさとこんな所から離れるぞ!」  ギリリと悔しそうに俺のことを睨みつける短髪の男。しかし、リーダー格の男の言葉を聞いて舌打ちをすると何やら暴言を吐き、3人の後を追うようにして走り去っていった。  逃げていく背中。じんじんと痛む手。  数年振りのこの感覚に俺は興奮を覚える。 1度羽交い締めにされた時は、少しヒヤっとしたが...  けど、まぁあのくらいのハラハラ感があった方がケンカは楽しい。  ― ドン...ッ!!  その時、突然背中を強く叩かれた。  何なんだ、と思い後ろを振り向けば、今さっき助けた男子生徒が鋭い眼差しでこちらを見ていた。その目には悔し涙が浮かんでいる。  「なんで...なんで手なんか出してくるんだよ!せっかく...我慢して、堪えてたのに...っ!あんたのせいで明日から今以上に俺は酷い目に遭うんだ!!」  そう叫び散らす男。だが俺は何も話さなかった。  約束の1つ。土屋以外の奴とは口を利かないというのだけでも守っていようと思ったからだ。  しかしそれが逆効果だったのか、男は激昂した。  「...っ!」  さすがにヤバい、少し落ち着かせよう。そう思い手を伸ばせば、ガッと犬のように強く噛まれる。  痛みに驚いて手を引くと、男は何度も転びそうになりながら慌てた様子で帰っていった。  「なん、だよ...」  手に残った噛み痕。僅かに血が滲んでいた。  ―また、拒絶された。見ず知らずの奴にも。  先程までの興奮はなくなり、心は沈む。  誰も俺のしたことを認めない。  ...やっぱり俺を認めてくれるのは...俺自身を見てくれるのは...――土屋だけだ。  今日のことで俺はその事実を再確認させられた。

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