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ifネタ4

 家を出て30分も経っていないだろう。 俺は来た道を戻ってマンションに帰ってきた。  ― それにしても、この噛み痕はどうしようか。上手く土屋に隠さなければ。  そう言えば袖の長いTシャツがあったな、と思い出しながらドアを開け、中に入る。  「おかえり、渉君」  中に入ってすぐ。靴を脱ごうとしていた俺はその声に肩をビクつかせた。  「つち...や、なんで...もう帰ってきて、」  顔を上げた先にいるのは、口角を上げて笑む土屋の姿。だけど目は笑っていなかった。  俺はまさかの事態についていけず、戦慄くばかりだ。あせりと緊張から大量の冷や汗が体を流れる。  「あぁ、今日は早く仕事が終わったんだ」  スーツの上着を廊下に脱ぎ捨て、ネクタイをゆるめながら土屋は近づいてくる。  逃げることも何もできず俺は、はっは、と短い呼吸を繰り返し、過呼吸寸前だった。  「約束を破ってまでして外に行って...どうだ、楽しかったか?」  優しい口調。だが、俺は震えていて上手く口が回らず、言い訳も何も言えなかった。  すると目の前まで来た土屋は俺の首元と肩口の匂いを嗅いできた。  「....男物の、香水の匂いだ」  「ち、ちが...っ、つちやっ、」  一瞬にして目つきが鋭く細まる土屋。 有らぬことを疑われ、俺は必死に首を横に振った。  動揺し、足がふらつく。靴のサイズが合わなかったせいで、変にバランスが上手くとれず体は傾く。  だから俺は反射的に手を壁に着き、なんとか体勢を保った。  「っあ゛!!痛...っ、」  「随分と激しい相手だったみたいだな」  痛みの走る手の甲。壁に着いたその手はあの男に噛まれた方だった。  土屋はその手を見て、掴みあげると躊躇なく同じところを強く噛んできた。  それは先程の男よりも強く、引きちぎられるのでは、と思うほどだった。  「約束を破った挙句、男遊びか」  「そんなこと、してないっ、俺はただいじめられてたやつを助けに、」  「あぁ、あぁ、渉君...そんな嘘、俺は信じないよ」  そういい俺に冷たい目を向ける土屋。 土屋は固まる俺を置いて、背を向けると居間の方へ歩いていく。

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