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第4話

 ヴァルキリー家は国の創生に関わる女神の末裔だった。戦を司る女神ヴァルキリーは軍神マルスとの間に子を成した。マルスの名が与えられなかったのは、ヴァルキリーの力を代々受け継いでいたからだと言われて居る。 「おお、猛々しき我が軍が誇る軍神よ」  正しくは女神の末裔なのだが、オリュンポス王家の名の由来もろくに知らないような軍属の言葉は、虚だ。その胸に飾った軍章の色に目をやってからすぐに、ヴィンセントはその軍人の無能を見て取れた。  ││薬物中毒の兵士は珍しくないが、この惑星では数が膨大だな。  副官から渡された資料に目を通しながら、この国の要である軍事要塞の質の低さに密かに苦笑した。  ││王の目が届かぬ星ではるまい。  それどころか、軍用的な要として比重の高い防衛線を張り巡らせていた。敵国からも重要視され続けていた惑星だ。そこに長い戦争のツケとも呼べる病巣があった。  この惑星はオリュンポス国にとって大切な軍事惑星であると共に、長い間戦争の主役だった。ホルスの力は偉大であり、この星の毒との付き合いが長く慣れればなるほど、歩兵は疲弊していく。  銀河流通の要を守る盾であればあるほど、人も物も流通していく。だが、大気の毒を分解する薬の流通をオリュンポスが独占して居ることや、常に戦争が起きるたびに流動的な人間の動きによって、どこか薄っぺらな瀟酒さが残る惑星だった。 「ホルスの動きが活発化しているとのことだが」 「ええ」  下卑た舌舐めずりを繰り返す男だった。田舎惑星の貧乏貴族だ。その聡明さから宮殿惑星に幼い頃招かれ王族の側近となるべく道を辿ったヴィンセントとは真逆の道を辿った典型的な男であるアウグストゥス準男爵子息であるシグナリオ・フォン・アウグストゥス上級大将は齷齪と言い訳を並べるのが好きな男だった。彼の副官が黙って従って居る。その空気感を掻き切るようにヴィンセントは言葉を重ねた。 「ホルスとはいわばこの星の要。言い換えれば、この惑星の全てが戦争の要だ。その要の変動を何故、報告しなかったのだ?」  居住まいを正してから、シグナリオは恭しく答える。 「ホルスのような生き物のことについてまで、我々の管轄ではなく……」  男の言葉を遮って、ヴィンセントは手元の投影装置によって資料を展開させていく。素早く読み取ると、ヴィンセントは立ち上がり、「これより貴公の全ての執行権利を剥奪する」と言い放った。 「は? それは」 「貴公の行いは、我々ギガントに対する反逆行為のそれである」 「いや、そんな横暴な」 「これより、内政調査部より監査を受けることを進言する」 「そんな」  もとより、美しいはずのないその身にどのような汚れがこびりついていようとも、誰も驚かない。ヴィンセントの狙いは、シグナリオが監査を受ければその間、彼の全権利は一度軍に返される。そして、ヴィンセントはその権利を移譲に乞える立場でもあった。  ヴィンセントの立場で元老院の覚えがめでたい男に表立って楯突くには危うい。アウグストゥス准男爵の子息ごときがこの軍の要に居座ることができたのは、彼の父親による采配であった。元老院の老人達はおもてだってはオリュンポス王家を支援したが、影ではその権力独占に対して反感を覚えて居る。ギガントは危うい立場だ。所詮神や権力が持つ一本の剣に過ぎない。 「ホルスを制御する施設を見せてくれ」  副官が走っていくのを横目に、ヴィンセントはこの星の特異な体系を改めて数値で見て驚嘆した。 「凄まじい大気の汚染度だな。この土地で生まれ育った驚くべき人々に敬意を表する」  星全体を覆う水銀が気化してそのガスが地表を覆って居る。太陽からの光をまともに受け入れず、ドームで覆った土地でしか常人は生きていくことができない。ホルスはその水銀を糧にして生きて居る。水銀から発生する特殊な成分がホルスの餌になるのだ。凄まじいエネルギー量を維持できるその成分のおかげで、ホルスは強大な力を持ち、絶対的な宇宙の支配者として名を馳せた。 「マルスの愛児か」  この星の原住民は「緑の民」と呼ばれ、全身緑色の色彩を持ち高い身体能力と不死身の肉体、そして強い感応能力を持っていた。エンパスやテレパスが多く、その中に一握りの「愛児」と言う存在が歴史に登場する。愛児はマルスに愛され、幾多の危機も彼からの智恵でもって乗り越える。  ││智恵、とは彼らの言語で神託にもよく似て居る言葉だ。銀河、いや宇宙レベルの、テレパスと言うことか。  王族や連なる神々の末裔は宇宙の真理を与えられて居ると信じられて居る。だが長い歴史を経て、それらの恩恵は消滅して居る。神々の暁光は血生臭い政治や宗教の中で息絶えた。 「ラグナロクの再来を我々は見るのかもしれんな」  独り言ちて膨大な量のデータに目を通して居るうちに、ホルスを制御する施設の責任者がようやく現れた。女は、首を垂れた。 「これはこれは、神の末裔に初めてお目もじつかまつります」  高貴な客人に慣れた様子で、女は優雅に一礼してから、ヴィンセントを彼女が管理する施設││表向きは娼館としていた││に案内した。 「ハルモニア、と言う名前だと聞いたが、それは」 「ホルスは、特定の周波数を好みます。特に、女が発する高い周波数の声を好みますのでその高い声が折り重なって、深みを増せば増すほどホルスは元気になります」 「高い、声」  マダム・ポイズンと呼ばれていた女の経歴は、さして珍しい物ではなかった。かつての彼女も軍人を相手にするためにこの惑星に連れてこられた娼婦だった。彼女は花の盛りの頃、トトメスを支配していた当時の参謀長の愛妾となり、彼の後ろ盾を得てからハルモニアを作った。それから半世紀以上、トトメス一の娼館「ハルモニア」は彼女の手腕で栄えて居る。 「ご覧になりますか?」  試すような問いだった。その仕草に、かつてに母を思い出させてヴィンセントは僅か心を動かされた。 「わかった。手短に頼む」  そう答えると、女はヴィンセントをハルモニアと呼ばれる娼館に連れて行った。誰も、宮殿惑星に住んでいた王の覚えめでたき貴族をその目で直に見たことがなかった。軍の要とはいえ、オリュンポスの中でも本流から外れる位置に存在する。流行の装飾など知らない女たちが、古めかしいレースを纏って瀟酒を装っていた。 「表向きは、普通の娼館のようだが」 「ええ、宮殿惑星をご存知のような方には粗末な荒屋に見えるかもしれませんが。一通りの方々は受け入れております」  軍部施設に隣接して娼館が立ち並ぶことは当たり前だった。もっと王族に近しい後ろ盾が出来た娼婦などは、巨大な移動型コロニー娼館を作って居るがそこまでの器量はマダム・ポイズンには無かったようだ。  娼館独特の、女たちの香水と男の精と、消毒液の混じった洗い立ての敷物のような匂いが充満していた。母親がよく愛人たちと悦びに興じていた離宮はこんな匂いがしていた。 「それで?」  ヴィンセントが問う前に、女が一礼すると渡り廊下が出現した。左右に滝が流れ、奥には鬱蒼とした木々が揺れて居る。ムッとした息苦しさを感じる渡り廊下の作りに感心して居ると、離れ小島のような作りの向こう側から音が漏れていた。一歩近づけば近づくほど、女たちのさざめく声が近しくなり、遠くなる。その声は、悦びの声だった。  渡り廊下の先に開けたコロッセウムが存在し、中央には巨大な台座と、360度を囲う巨大な円柱から女たちが顔を出して声を張り上げて居る。 「これは……?」  思わず声を上げるヴィンセントにマダムは微笑み首に下がっていた巨大な宝石に触れた。宝石は色を変え、緑色が強くなる。そうすると台座以外が抜け落ちて地下の様子を間近に見せた。 「マントルに通じて居るのか?」  ヴィンセントの問いにマダムがうなずく前に、地下空間から巨大な生き物が顔を出し、台座に座る。そうすると、女たちは声を上げて一層恐ろしい呻き声のような波打ち際の海の怒声のような声を上げると、ホルスはその巨体を台座の上に横たえて瞼を下す。コロッセウムから突然伸びてきた長い針のようなものがホルスの体を貫き、中から体液を盗むとゆっくりと針が収縮していく。 「ホルスの体液はこの星の大気に打ち勝つ血清を作り出すことができます」 「なるほど……それで、この壁の女たちは?」 「トトメスの大気に打ち破れて客を取れなくなったものたちの成れの果てですわ。彼女たちは、体が使えなくなっても、借金を抱える家族のために死ぬまで壁の一部となり、このハルモニアを支える。そしてホルスに一生子守唄を捧げるのです。大丈夫、私は彼女たちに十分な報酬を与えております」  大気に打ち勝てる血清の市場を独占していたから、この星で生きる者たちは高い相場の血清には手が出せずに安い解毒剤を飲んでやがて汚染に耐えきれずハルモニアの一部となる。  ││なるほど、よく出来て居る。  ヴィンセントはこの手の智恵がよく回る強欲な商人たちの扱いを心得ていた。 「ご婦人」  誰しもが褒め称える美しい声で、ヴィンセントはマダムに問うた。 「何かお困りごとがあるのですか?」  単刀直入に交渉すると聞くと、彼らは大抵無粋だと言う。だから、必ず微笑んで明日の天気を聞くように、そう問うのだ。そして相手は見定めて、答える。 「私、夢がございますの」 「ほう」 「ほら、どうしてもこの星だけでは手狭でしょう? 女の子たちにも外の世界を教えてあげたいしね」  ││コロニーを一つ持てるほどの後ろ盾を紹介しろとの催促か。分かり易い女だ。  ヴィンセントは表情を動かさずに女の欲しい情報を与えるように頷いた。商人はいつだって確証を欲しがる。 「ああ、バッカス将軍はいつも、刺激に喘いでいるとか。彼ならきっと、ご婦人の娘たちを気にいるだろう」  宮殿惑星での政権図を分かりもしないだろう女に、適当な田舎貴族の名前を伝えて、ヴィンセントは女からハルモニアの構造設計図を手に入れることにした。この星の者たちが死に絶えようとも、マダムが血清を買い上げようともそこは今問題にすべき点ではない。  ││ホルスを手中に収めることができればまずは良い。  マダムが全権を譲渡することはないだろう。彼女は強欲だ。必ずヴィンセントの弱みを握りたがる。この手の子物には満足する報酬を与えて、少し大きな小物に食わせるほうがいい。バッカスと前任のアポロンは懇意の仲だった。彼らが裏で手を組んで、マダムからホルスを吸い上げてもらった後の動きを狙うべきだとヴィンセントは判断して、ハルモニアの女たちで作られて居る制御装置でホルスを動かすように要請する。 「ホルスが活発化して居るようだが、それは、ハルモニアのせいか?」 「ホルスが活発化? そんなこと、私知りませんわ」  中途半端な情報網のマダムに舌打ちしたくなりつつ、ヴィンセントは脳内で指示系統を整理する。どこかで情報が支配されて居るはずだ。先ほど見ていた全兵士の履歴などを脳内で整理して居る間に、衝撃がヴィンセントの足元を揺るがした。 「何事だ?」 「ヴィンセント様!」  副官の声に反応する前に、地面が揺れる。マダムは悲鳴を上げてその場を出て行った。 「攻撃を受けております」 「攻撃?」 「惑星同盟連合軍デメテルの自由の指導者アーサーと名乗るものから」 「先制攻撃だと? いったい何処から」  すでに一帯は掌握したはずだと伝える前に、副官は言葉を早めた。 「内部です。この中から、白兵戦で」 「この星に侵入したと言うことか?」  そこでヴィンセントは一笑した。 「アーサー! その名を覚えておこう。だが、決して逃しはせぬ。アレス、奴らがこの星に侵入したと言うのであれば、目的は我々ではない。その理由を探れ」 「はっ」  あまりにも無謀な行動の裏を読みながら、ヴィンセントは目の前のハルモニアの女たちを見つめる。マダムは、ホルスの制御は「女たちの高い声」だと言ったが、その構造はマルスの愛児に似ていた。 「子守唄、と言ったか」  ハルモニアをもし、マルスの愛児が制御できたら。その思考にたどり着いたヴィンセントは迷わず、副官の名を呼んだ。  高揚する気持ちを抑え切れない。どうしたことだろうと、ヴィンセントは副官からアーサーがゲリラ的に出現しては逃げていく様子を告げている。 「時系列に全て見せろ」  副官が手渡してきた地形図と時系列を投影して、ヴィンセントは一人微笑んだ。滅多に表情を変えない男の様子に副官のアレスだけはギョッとして、そこに礼をしたまま動かない部下たちに悟られないように視線を外した。ヴィンセントの怜悧な美貌はあまりにも人間らしさがなく、獰猛さが際立った。彼が地位だけではなく、その戦略家としてのセンスと卓越した軍事技術、そして意外なことに素晴らしき剣技の持ち主だった。彼の筋肉は鋼のようで、優男に見えるのは顔だけでその体躯は見事だ。およそ軍神と呼ばれるには美しすぎる容姿に反して彼は神の末裔らしき人ならず気配を持つ男だった。 「陽動だな」 「アーサーと名乗る男は、この遺跡を目指して陽動を仕掛け、我々が混乱しているうちに一気にポート付近に撤退しています」 「ポートの封鎖は?」 「しております」 「そうだろうな。だが、奴はそこでは出て行かぬのだろうよ」  よほどの仕掛けがあるのだろうと、ヴィンセントが自身の手の甲に顎を乗せ一考していると「マダムを呼べ!」と叫ぶ。 「マダム・ポイズンなる婦人は見当たらぬようです」 「娼館の様子は?」 「女たちは動揺していますが、特に動きは」  アレスが全てを言い終えぬ間に、ヴィンセントが部下を率いて移動しているハルモニア目前の中央広場で巨大な爆風が立った。 「兵を呼べ!」 「それが、ホルスの動きが我々を封じております」  先ほどからハルモニアからは恐ろしい声が漏れ続けている。ヴィンセントは「奴らは混乱に乗じているつもりだろうな」と呟いた。 「この状況を招かなければ、目的を達成できずまた、この星からは出られない。つまりそう言うことだ」 「ヴィンセント様、ポートの封鎖及び、強制」 「全てのID検知をしろ。ギガント兵は生体認証が埋め込まれているはずだ。その中で、この一週間に入港した者、そしてその中からマダムと接触した者を洗い出せ」  ウィザードを雇って改変しているのは承知済みだ。 「自由同盟特有のウィザードなら署名があるはずだ。マーリンを呼んで探し出せ」  魔法使いの国と言われた妖精と魔法と機械の国はその名に恥じないハッカー集団を飼っている。ヴィンセントは彼らにコネがあった。 「ヴィンセント様!」 「署名か?」  ホルスが中央広場で暴れ狂い、ハルモニアに突撃し始めた。その様子に街の人々が動揺している。地下街への誘導は住んでおり、彼らは所詮消費されるべき人民だった。だが、ヴィンセントはコルベッドへ移送を急いでいる旧式の自動車から降りる指示をだした。 「ヴィンセント様! マスクを!」  毒ガスが充満する街の中で常人は立っていられない。ヴィンセントは常人ではなかった。オリュンポスの王家に膝をついた神々の末裔だった。肌を焦がすガスが一瞬で散っていく。その様子はヴィンセントが金粉を纏う如く幻想的な光景であり、常人たちは息を殺して見入った。 「ホルスか」  ハルモニアの女たちが歌う。ヴィンセントは、暴れ狂うホルスの頭に少年が乗っていることに気づいた。緑色に染まった髪の毛は腰まで伸び、女たちのように声を張り上げてホルスを誘う。どんなにホルスがくねっても彼が吹き飛ばされないのは、少年の下半身がホルスに埋まっているからだ。 「マルスの愛児」  呟いて、ヴィンセントは少年に魅入る。細い体は栄養が足りないのだろう。骨張った体にようやく白い肌が張り付いているようだった。瞳は緑色に光、唇は赤々と見える。少年はヴィンセントを捕らえると、口を開いた。何かを叫んでいるようだった。その声を聞いて、ヴィンセントは興奮した。冷え冷えとした心に、かつての記憶が蘇る。 『ヴィヴィー!」  妹が自分を呼んでいるようだった。激しく発情していた。彼女の匂いがする気がしたのだ。気のせいだと思う前に、ヴィンセントは目の前の化物と少年に掌を翳した。 「私のものになれ」  獣たちは頭を捻る。餌が何かを言っていると思っているのだ。所詮肉の塊。大したことでないと判断した獣たちはヴィンセントに向かってくる。その相手に向かって、ヴィンセントは親指の先を歯で食い千切り血液を滴らせた。そして、掌を己の血で赤く染めると向かってきた獣をその掌で受け止める。獣は状況が読めずにグルルと腕の中で鳴く。常人であったならば、獣の体液ですでに命はない。だが、ホルスの体液を浴びてもヴィンセントの体は少しも欠けることなくむしろ、己で浴びた血によって光り輝いている。 「我が眷属になることを、許そう」  ヴィンセントの言葉にホルスはその場に倒れた。頭部と少年だけはヴィンセントに抱かれている。 「ヴィンセント様!」  副官が辿り着く頃、ヴィンセントは次々と湧いて出てくるホルスたちに「行け」と命じた。その言葉だけで、ホルスたちが次々とヴィンセントの望みを叶えるべく地下に潜っていく。 「この少年を頼む」  ホルスの首から取り出した少年を副官に任せてヴィンセントはホルスの示す先に進んでいく。 「ヴィンセント様は、どちらへ?」 「狗どもが目的の女を見つけたようだ」  そう短く言うだけで、一匹のホルスがヴィンセントを体に乗せて遠くへ飛翔する。その爆風に口元を覆いながら、副官は腕の中の少年を見下ろした。長く伸びていた緑色の髪の毛は黒く戻り、次々と抜け落ちて短い髪の毛に戻っていく。10歳にも満たないのだろうか。幼い上に、とても体重が軽い。この星の過酷な環境の中で生き延びていたのだ、その命の強さにアレスは息を吐いた。  ││そして彼の方は……やはり我々とは違う。  主人が消えた先を見つめて、アレスは胸が痛む思いだった。それまでいかに己の知識が上辺だけのものだったのかを知った。彼は、間違いなく神の末裔で、存在自体が奇跡だ。幾多の死線を乗り越え、オリュンポスに勝利をもたらすためにやってきたのだ。 「アレス様!」  部下の連絡に確信を持ってアレスは答えた。マダム・ポイズンと名乗った女は、アーサー逃亡の折に、アーサーに殺されたと言う。マダムの死と内部踏査による嫌疑により、ヴィンセントはこの惑星兵器の全権を一時的に掌握したのだった。

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