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第3話

 『 春臣 』  ― 大好き  『 お前の演技は本当に素晴らしいね 』  ― 大好き  『 僕がお前の支えになるよ 』  ― 大好き  『 僕の息子...天宮千晶だ 』  ― やめて  『 これからは千晶の面倒も見ることになるから...――― 』  ― 俺だけを見て  『 千晶、僕に似てるだろ。やっぱり可愛いもんだな 』  ― とらないで  『 千晶、千晶、ちあき、チアキ...――― 』    「 藤堂春臣 」  「...っ、」  突如として目が覚めた春臣を襲ったのは息苦しさ。  「お、まえ...っ、」  寝ぼける視界に写ったのは忌々しい少年の姿。ベッドにいた春臣の上に跨った天宮は冷めた目で春臣を見下ろす。  「京太がご飯だって。てか、あんたいつまで寝てる気だったわけ。朝もまともに起きれないの?」  「...朝からうるせぇガキだな、」  「しかも態度最悪じゃん。わざわざ起こしに来てやった俺の身にもなってよ。全部京太頼りのあんたの方がガキじゃないの。生活能力ゼロのろくでなし」  「生活能力ゼロで何が悪い」  朝一から浴びせられる毒のような言葉。しかし、春臣はすべて聞き流し、感情を荒ぶらせることなく千晶をどかして起き上がる。その言動は千晶なんぞ微塵も相手にしていないということがひしひしと伝わるものだった。  「用が済んだんなら早く部屋から出て行け」  「...はっ。あんたさ、本当テレビの時と違うね、皆騙されてるよ」  「芸能界なんてこんなもんだ。わかったらさっさと――――― 」  「 俺は気がついてたけどね 」  「...っ、」  春臣の言葉を遮った千晶は笑みを浮かべていた。しかしその瞳は濁り、光を灯していなかった。  そうしてその暗い瞳に吸い込まれ動きが止まった春臣をおいて、言われた通り千晶は部屋を出ていった。  

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