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番外 休日※

「あっ…んっ……そこっ……!」  濡れた音が響く。スプリングが軋み、情愛を貪る。鋭く刺さった言葉が脳内を切り刻みながら強制的な快楽を与えてくる。粘膜と粘膜が混ざり合いって毒薬になる。快楽の地獄。その監獄の中で笑う彼は正気ではないのだ。床に転がるアルコールの瓶。手癖の悪い野蛮な獲物のせいで傷ついた肌から鉄臭い液が垂れる。 「声だけは色気があるのにね?」  生意気な青年を抱きつぶす悪魔が呆れたように声を出した。汗で張り付く髪をかき上げながら小さくなった飴を嚙み潰した。 「はぁっ…!くっそ…!」  余裕に振舞う彼が気に入らないのか今にも噛みつきそうな顔で睨みつける青年。心の中で若いな、と思った。  肌触りのいい紙を一枚めくって次のページを開いた。 「…」  少し掠れた活字に指を滑らせて読み進める。ああ、そういうことか。 「……」  冷めきった紅茶を飲み干して本に目を戻した。長い間生きていると言っても学習は必要だ。 「あああ!もう!!何!?何なの!?なんで魔王ちゃんはそこにいるの!!!!」  横のベッドからイグナーツの声が聞こえた。全く、今私はいいところなのだが。 「私のことは気にしなくていい。続けてくれ」 「いや!!!!そうじゃないだろ!?俺ちゃんが犯されてるのにさぁ!なんで隣で本読んでるの!!」  ぎゃんぎゃんと吠えるイグナーツに目を向けた。セバスティアーノに組み敷かれて抱かれている光景は見慣れている。 「側役の代わりがいないのだから文句を言うな。周りに誰もいない状態になると議会がうるさいんだ」  今日は公休日ということもあって兵が休暇を取っている。その為セバスティアーノ以外の者に護衛を頼めない以上彼がどんなことをしようと隣にいる他ない。 「そういうこと。別にいいじゃない、俺も魔王様も気にしてないんだし?」 「俺が気にすんの!!」  正直に言えば隣でしていようが別室でしていようがイグナーツの声は丸聞こえだし3人で抱き合ったこともあるのに何をいまさら恥じることがあるのかと思う。 「…なら、私も手伝ってやろうか?」 「えっ…?!そ、それはちが…!」  読んでいた本を閉じてベッドに腰掛けた。私はゆっくり休みたいから抱かれたり抱いたりするのは勘弁願いたいが、手を貸すくらいならいいだろう。 「よかったねェ、大好きな魔王様にしこしこしてもらえるなんて♡」  イグナーツはめっぽう私に弱いから早く達するだろうがそれを見るのは私の特権でもある。達した後の放心した顔と言ったら可愛いとしか言いようがない。 「ぅう…嬉しいけど嬉しくない…」  熱く反り返ったそれは私に触れられるのが嬉しいのか手の中で一段と大きくなる。イグナーツのわがままでおあずけされていたセバスティアーノも愛撫を再開し、嬉しそうにしっぽを揺らしている。 「ぅ、あんっ…!俺ちゃんおかしくなるって…こんなの…」 「おかしいのは元からだ」  既にセバスティアーノの体液でとろとろに溶かされたイグナーツの体は肌を撫でるだけで喜び、跳ねまわる。愛しい。私を欲しがる姿は実に可愛い。たまらず首筋に噛みつくと高い嬌声が耳元で聞こえた。 「んん!ちょ、ちょっと…!んぁ…!こ、こんなに、きもちいのに…いま吸血されたら…!んんぅ…!こわれひゃぅ…!」 「ちょっと?俺、蚊帳の外にしないでネ?」 「んにゃあぁ!!にゃか…!にゃかこわれひゃっ!」  目が潤み、頬が赤く染まって涎も垂れている。見れば見るほどいやらしい光景だ。 「だらしないカオ、かぁわいいネ?」  イグナーツとセバスティアーノ、互いに嫌ってはいないようで寧ろ好きまであるかもしれないらしい。勿論嫉妬はするし恋敵として競いあう仲のようだが私達がだと認識しているらしい。そんな中二人で攻め立てられたら…とんでもないのだろう。呂律が回らなくなったイグナーツを二人で追い詰めていく。 「激しくされるのが好きな癖に」 「しゅきらけお…こわれひゃ…」  壊れちゃうと連呼する割に「やめて」と言わない辺りイグナーツはエロいと思う。つまり壊れてしまうそうなほど気持ちがいいがのだから。それくらい貪欲で素直なところがいいところでもあるのだろう。現に攻めの男二人がそれに興奮しているのだから。 「壊れちゃダメなんていってないんだシ?壊れて気持ち良くなっちゃおうヨ!」  快感に身を任せて好きなだけ喘げばいいのだと二人が口をそろえて言えばイグナーツはもう堪えられないのか限界だと涙ながらに訴えた。 「も…も、むり…イク…、イッちゃ…!」 「ほらほら♡いっぱい出しちゃえ♡」 「あ"-!!イッ…!イッくぅぅぅ!!」  大きくはねたかと思えば足をピンと伸ばしたまま痙攣し白濁液を吐き出した。力が抜けた体がベッドに沈み込んでだらんとしている。天国でも見ているのか視線の合わないイグナーツから手を離す。 「予想通りだが、汚れてしまったな…」 「派手にイッたからねェ………。ついでに魔王様もしとく?」 「私は結構だ」  天国から帰ってきたイグナーツが私にすり寄ってきた。大変満足した顔だが………。 「さぁてもう一ラウンド行こうネ~♡イグナーツきゅん♡」 「も、もぉ…勘弁して…!」  今日はもう読書が出来なさそうだと、心から思った。

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