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赤みがかった茶色の前髪がゆるくカールして おでこにかかっている。 寝起きで、何もスタイリングされていない髪は フワフワだ。 体格は柊生とそれほど変わらないが ほんのり日焼けしている肌のせいか和真には 逞しく見えた。 「あ、根岸 和真です…ご迷惑おかけします」 言いながら和真もペコリと頭を下げた。 「もういいよ、事情はだいたい分かったから 今度からちゃんと法を守って乗りなさい」 足を伸ばして浅く座り、胸の前で腕組みをして お説教が始まった。 「それと、君ね、もう少し警戒心を持ちなさい 発情期に見ず知らずのαの男の車に乗るなんて レイプでもされたらどうするの?」 言われている事は、結構きついのに傑のやわらかい声と 角のない話し方のせいか?ちっともキツく感じない。 和真は思わず顔が笑ってしまった。 それに気づいて、傑は口をポカンとあけて唖然とする。 「一応真面目な話ししてるんですけど」 「え、あ、いや… お二人とも優しいなって思ったら つい…」 和真が素直に思ったことを話すと、傑はキョトンとして 半分呆れたような顔になる。 「呑気だな…もういいや。。フフ」 そう言って目尻を下げて笑った。 あ! あぁ!笑った!この人ヤバイ 超タイプ…。 和真は一気に心臓が早くなるのを感じた。 「じゃぁ とりあえず上脱いで」 ー ヤバイ、ヤバい ドキドキしてるのばれる! 「柊生君に聞いたと思うけど専門外だから、後日改めて 整形外科行ってね。事故は今何ともなくても、明日に なったら急に痛みが出てきたりするから」 ハイ、ハイ。と相づちをうちながらも上の空だ。 こっちむいて、あっち向いて、腕を伸ばして ここ、痛くない? そんなやり取りの中、あちこち体に触れられる。 触れられた場所が痺れて熱を感じて、体に広がって 全然検査に集中できない! ー コレはあれだ、やっぱり薬効いてない…。 レントゲンも撮ってもらい、最後に擦りむいた場所を 治療してガーゼを当てて包帯を巻いてもらっている時も 傑のキレイな手をじっと見つめていた。 「君 熱あるよね」 不意に言われて和真は夢から覚めたようにハッとした。 「え?」

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