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12.Only lonely love
「たぶん それ」
柊生がマグカップのお茶を飲みながら答える。
「…それってさ
エッチとか しない関係なんじゃなかった?」
「え、そうなの!?」
「いや、何が正解か知らないけど…」
正解があるのかも知らないけど…
と、言うか論点はそこではないけど。
和真もマグカップのお茶を抱えて口をつける。
何と答えていいのか分からず黙る。
沈黙が気まずくなった柊生が小さく咳払いをした
「あ、じゃぁエッチはさ
我々は特別ルールで…」
ー そっちはもう どうでもいいんだけど
いや良くないか…
「カズが嫌ならしないって事で」
柊生が名前で呼んだ途端に体が熱くなった。
ベッドで呼ばれた記憶が勝手に甦ってきて。
「エッチしなくてさ、俺をここに置いとくの
佐倉さんにとって なんのメリットがあるの?」
動揺を悟られたくなくて、必死で冷静を装う。
「メリット…」
「うん」
「…それは…あれじゃない?
かわいい子を眺めて
癒される…みたいな…」
ー かわいい子…って
「…あれ?なんか赤くなってない?」
「いや、変なこと言うからでしょ!」
和真はガタガタ音を立てて立ち上がると
テーブルの上に残っていた食器を やにわに掴んで
キッチンへ運んだ。
食器を洗おうと水を出して、腕をまくると
柊生が追いかけてきて水を止める。
「食洗機あるから」
そう言って和真の至近距離で顔を見つめて笑う。
「ち、近いよっ」
和真が柊生を押しのけようとした時…
ピロピロ…
リビングのキャビネットの上で和真の携帯が鳴った。
食事の前に充電していて、無事 息を吹き返したのだ。
和真は一瞬、出ることを遠慮して柊生を見る。
「出なよ」
柊生が携帯を指さして、あたりまえのように
言ってくれたので
和真はあわてて、携帯を取った。
(ネギやっと出たぁぁ!!)
受話器の向こうで政実 が叫んでいる
「ゴメン連絡しなくて」
充電が切れてる間にメッセージや着信が
何度もあった
既読にすらならない状況を、心配してくれていたの
だろう
(俺、まじで心配して今ネギん家の前に来ちゃった
今、どこにいんの?)
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