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13.トップ・オブ・ザ・ワールド
「仕事見つけて、住むとこが決まったら出る。
長くても3ヶ月!」
「3ヶ月…」
「長くいたらニートになっちゃいそうで」
言いながら和真は苦笑した。
「大丈夫だよ、パパ厳しいからな
パパはお前をダメ人間にはしないよ」
顔を和真の胸にスリスリしながら言った。
「パパ、パパって
俺 パパって呼べばいいの?」
「いや、そこは名前でしょ」
柊生は起き上がって座り直す。
和真も一緒に起き上がった。
「しゅう って呼んで」
「しゅうさん?」
「…ウンウン、いい感じだね、もっと呼んで」
柊生は目を閉じて嬉しそうに呼ばれた感じを
噛みしめている
「しゅう君」
「ん、いいね、いいね」
ー 年上なのに何でこんなに可愛いんだろ
悪魔だなぁ…
和真は言いながら、柊生の表情をじっと眺めた。
「しゅう」
そっとキスをして、さっと離れた。
柊生はフワッと微笑んで目を開ける。
「やったな」
和真の腕を捕まえて引き寄せてキスを返す。
イタズラのように短く何度も唇を重ねて
さらに引寄せて膝の上に和真を跨がせる。
二人で時折目を合わせて笑いあった。
「さっき した時さ、本当は体痛かったでしょ」
「…平気」
和真は目を合わせずに小さく答えた。
体勢を変える時など、変なタイミングで
体に力が入って、唇をきゅっと結んでいた。
事故のせいで、本当は寝返りをうつだけでも
痛いのだろうと思った。
分かっていて止められなかった。
「無理させたね」
和真は首をふってこたえて、柊生の首に腕を
巻きつけてぎゅっとしがみついた。
「明日は安静にして、ゆっくり休みな?」
「うん、柊生さんは仕事、何時頃でるの?」
「7時くらい、寝てていいよ」
「…ん、帰りは?」
「早く帰るよ、19時過ぎくらいかな」
ー 何がなんでも切り上げて帰ってこよう
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