自然と目が覚めた。 他人と同じベッドで寝たのは何年ぶりか…。 2人でベッドに入った時、それなりに緊張感は あったのに、和真は自分でも驚くほど速く 眠りに落ちてしまった。 事故の前も後も、時間にしたらそれなりに 寝れているはずなのに、ずっと寝覚めが悪く 頭が重かった。 ところが今日は何日分かまとめて寝たように 頭の奥がスッキリしている。 「あ、起きちゃった？」 ベッドに座っていた柊生が振り返る。 「うん、おはよう、何時？」 「6時くらい」 言いながら、当たり前のように 和真のこめかみ辺りにキスをする。 「俺、めっちゃ爆睡しちゃった 柊生さん、ちゃんと寝れた？」 和真はムズムズするような恥ずかしさを 隠して話す。 「寝れたよ、俺もう起きるけど まだ寝てていいよ」 そう言って笑う。 「起きる」 手洗いを済ませてリビングに行くと、コーヒー メーカーのコポコポという優しい音と コーヒーの香りが満ちていた。 「俺 朝はシリアルとか、果物くらいしか 食べないんだ、何にもなくてごめん」 キッチンでシリアルを出しながら柊生が言う。 「平気、朝はいつも食べてないから」 和真は、目を擦りながら柊生の横に立った。 「まじ？ダメだよお前は食えよ」 柊生はザラッと乱暴に皿にシリアルを出す。 そしてホラと和真に渡す。 「牛乳出して」 「はーい」 「午前中に家政婦の水野さんが来るけど 警備員室で開けてもらって、勝手に入って 来るから、気を使わなくていいよ たぶん2時間くらいで終るかな」 「はーい」 シリアルを食べながら話す。 「最近のシリアルってうまいんだねぇ」 ー こいつ何食ってもうまいって言うな 「意外と栄養バランスもいいしな」 柊生は新聞を流し読みしながら相づちをうつ 「子供の頃あこがれて試した時、思ってたのと 全然違ってガッカリしたけど、これなら いけるね」 「食ってもっと太りなさい」 和真はまた、子供のように はーい、と返事を返した。