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見えなくなるまで車を見送ると、和真は辺りを
見回して、ため息をついた。
「成功者の見る風景だな」
柊生のマンションは8階建ての最上階で
それほど高くはない。でも近くに高い建物が
少ない為、見張らしは悪くなかった。
手入れの行き届いたルーフバルコニーも
きっと定期的に業者の手が入っているのだろう。
ー 俺、この空間に不釣り合いだな…
そう思って1人、笑ってしまう。
見上げた空は、あいにくの曇り空だ。
ー 夕方には雨になると天気予報で言ってたな
柊生さん降られないといいな
どんよりと重い空。でも不思議と憂鬱にはならない。
なぜかフワフワと暖かいものが胸の奥から溢れて
気づくと頬が緩んでいる。
ルーフバルコニーの爽快感につられて
伸びをして、首がつっても
和真の気分は下がることはなかった。
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