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「ゴメン!痛かった?」 我に返ったように、柊生は和真を抱き上げて イスに座らせた。 暖かいシャワーで体をきれいに流す。 和真はされるまま目を閉じて柊生に もたれかかって脱力している。 「ごめん!なんか俺 飛んでたね」 ー 何だったんだろう…途中からまるで レイプでもしてる気分だった 和真をきれいにして、抱えるようにして浴室を出る。 大きめのバスタオルで和真をくるみ 折り畳みイスに座らせて髪を乾かしてやる。 和真は少しずつ意識が戻ってきて 「ありがと」 と言って、鏡越しに笑ってくれた。 柊生がドライヤーを使ってる間も うっすら笑いながらその様子を見つめている。 ざっくりと髪を乾かすと 柊生は、よっこらしょ、と かけ声とともに、和真を抱き上げる。 「え!?」 和真は驚いて声を上げた。 そのまま浴室を出ようとする柊生に 歩けるってば 、と足をジタバタさせて抗議しても そのまま寝室まで運ばれてしまった。 バスタオルごとゴロンとベッドに 投げ出されて、すぐに柊生が覆い被さってくる。 和真は何かされる、と身構えたけれど 柊生は和真を包み込むように抱きしめただけで じっとしている。 「しゅ、しゅぅさん?」 何もされない事で、逆に緊張が高まる。 「ふ、く…着ないのかな?」 額がくっつく距離で柊生がジロッと和真を見た。 「着ない」 「……さむい、よね」 その言葉を聞いて柊生がサッと布団を広げて 2人をくるむ。 ー いや、そうじゃなくて服… 和真は横にくっついて離れない柊生の顔を ちらりと覗いた。 柊生は目を閉じて和真の首に顔を埋めている。 両手と両足で抱き枕のように和真を抱いて 和真は寝返りもうてない。 ー 大型犬と寝てるみたい… 頑なに動かない柊生に負けて、和真は唯一動く 右手で柊生の髪を撫でた。 撫でられた柊生は目を閉じたまま笑う。 そして小さな声で、ゴメンね、と謝った。 「もう、怒ってない?」 「…何を?」 和真に聞き返され柊生は言葉につまる。 「生で入れた事? ちょっと乱暴にやっちゃった事? 冗談で噛もうとしたこと?」 「じょ、冗談?」 ー 結構言うなぁ、、 「全部 最初から怒ってないよ ちょっと怖かったけどね」

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