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17.Zip your lip

クローゼットを閉める音で目が覚めた。 ー あれ? 朝? 何時? はっと飛び起きたら、スーツ姿で振り返った 柊生と目があう。 「ゴメン、起こした?」 「あ、ゴメン俺 爆睡してた!」 「何で謝るの、寝てて いいって」 柊生が笑いながらベッドに座って 和真の頭を撫でる。 「寝癖 スゴ」 「もう 行くの?」 「うん、あのさ今日…やっぱり もう1日 家にいて?」 「…もう、大丈夫だってば」 「大丈夫じゃない匂いがするから」 言われて和真は眉をよせた 「嘘だ」 「ホント」 柊生は時計をチラリと見て 「とりあえずもう1日様子見よう」 そう言って立ち上がる 「じゃぁ 帰りに検査薬買ってきてくれる?」 「何の?」 「発情期の検査薬、尿で調べられるの 薬局にあるから」 「そんなのあるんだ…分かったよ 買ってくる」 そう言って、もう一度 和真の頭を撫でて 部屋を出ていく。 和真は後を追って部屋を出た。 靴を履きながら柊生が振り返る。 「水野さんが作ってくれた常備菜 適当に食べなよ?」 「うん」 「行ってきます!」 「気をつけてね」 柊生はバタバタと慌てて 出掛けていった。 昨晩あれからまた激しく まぐわってしまい… もう一度シャワーを浴びて、ベッドに戻ってから ピロートークも盛り上がり、眠りに落ちたのは 2時過ぎだっただろうか? 柊生が出かける準備をしているのに気づかず 眠り続けるなんて 働いている柊生よりも自分の方が眠りが深い なんて、情けない…。 そんな事を考えながら玄関の壁に寄りかかって いると、突然玄関のドアがガチャガチャと鳴って はじかれた様にドアが開いた。 和真は一瞬泥棒でも入ってきたのかと驚いて ひゃっ!と声を上げてしまう。 もちろん 現れたのは柊生だった。 「!? どうしたの?忘れも…」 言い終わる前に柊生の唇が重ねられた。 両手で頬を捕まえられて、目を閉じる間もなく。 時間が止まるってこんな感じか…。 ゆっくり唇が離れて 目と目が会った。 「また連絡するから!」 そう言ってまた嵐のように去っていく。 「あ、うん…」 そう和真が返事をしたのはドアが閉まった後だった。

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