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「明日どこ行くの?」 「え?」 「明日ソイツとどこ行くの?」 ー やっぱり 何か怒ってる? 「あ、えっと学生の時からよく行ってる居酒屋… 勝手に決めちゃってゴメンね?」 「2人だけで?」 「…まぁ、そうかな」 柊生が無言になる、肩を抱く腕の力が強くなって くっついている背中が熱くて、変な汗が出そうだ。 「あのさ、それでさ…今のヤツに 柊生さんの事…話していいかな?」 「俺のこと?」 「うん、それでさ…ここにしばらく住むって事も 言っていいかな?」 腕の力が弱くなって、ようやく体が解放される。 振り返ると柊生がじっと和真の目を見つめた。 そして自嘲するように笑う。 「何て言うの?俺のこと いいパトロンができたとか?」 苛立ちを隠さない柊生の言葉に、和真は動揺した。 その言葉に、何故か悔しいような気持ちが 込み上げてくる。 「何て言ったらいいの?」 逆に聞き返すと、柊生の表情が変わった。 「ねぇ、何て言ってほしいの?」 言って和真が下唇を噛んだ。 柊生は目を見れなくなってうつ向く。 「……… 好きなように言っていい」 「………」 「…行こう」 柊生が背中を向けてリビングを出ていく モヤモヤとした気分のまま、仕方なく柊生に 従って、後を歩いた。 ー 何?これ。ケンカ?何で怒ってるの? エッチはしたけど俺たちは恋人になった 訳じゃない。期限付きでお世話になるだけ なのに… 友達に会うことも許可が必要なの? こんな風にイライラされる理由が分からない。 玄関で靴を履くと、ため息をついて 柊生が振り返った。 「嫌な言い方してごめん」 謝られたら何も言えなくなる。ずるい。 和真は何も応えず靴を履いた。 「カズ」 一歩前に出れば届く距離で 柊生が腕を広げて待つ。 和真は無視しようと目をそらした。 「…和真」 消えそうなほど弱々しい声に負けて 柊生の胸に顔を埋めに行く。 柊生はホッとしたように和真を抱きしめた。 ただ抱き合っただけで、先ほど2人の間にあった 緊張の糸がほどけていくようだった。 「金持ちの愛人になったって言ってやる」 「…それで いいよ」 「…やっぱり…恋人ができたって言う」 「それでもいいよ」 柊生が笑う。 「結婚するくせに」 言ったあとで、しまった、と思った。 せっかく柊生の機嫌がなおったのに余計なことを 言ってしまったと。 でも柊生から返ってきたのは意外な一言だった。 「しないよ」

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