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18.時計じかけのアンブレラ
「何言ってんの」
和真は顔を上げて1歩下がる。
「今度会った時に、はっきり言うつもり」
「何で?」
「何でって、前から考えてたって言ったじゃん」
「俺のせい?」
和真が青い顔で柊生を見上げた。
「俺が転がり込んできたから?
気を使ってる?」
柊生は柔らかく笑っている。
「どっちって言ってほしいの?」
「は?」
「和真のせいだって言ったら責任感じちゃうの?
それとも嬉しいの?」
ー どっち?
「どっちでも…カズの都合のいいように
取ればいいよ」
柊生は 行こ、と言って和真の手を引いて
ドアを開けた。
車に乗り込んで走り出すと、柊生が何か思い出した
ように、あ、そうだ、と声を上げる。
「先に薬局寄ろう! 早く帰りたくて
検査薬買わずに来ちゃったんだ」
「そっか、うん。お願い」
和真は上の空で返事をした。
さっきの話が気になって…。
もっと詳しく聞きたいような
聞くのが怖いような…。
家同士で決めた結婚をやめるって
そんな簡単にできるんだろうか。
薬局につくと柊生まで一緒に行くと言って
ついてきた。お店の客も、店員も特に何も
和真に反応したりしない。
それを見た和真は、やっぱりもう発情期終わってる。
そう確信した。
それでも柊生は念のため調べた方がいいと言って
譲らないので、購入後すぐに、店にあるトイレで
使ってみた。
1分程度で個室から出てきた和真に
どうだった?と柊生が詰め寄る。
和真は(ー)マークの表示された検査キットを
どうだ!と言わんばかりに見せつける。
「ほらね!終わってるって言ったでしょ」
「え?ぇぇ? 嘘だ!」
和真は手を洗って、胡散臭いものでも見るような
顔で柊生を見る。
「柊生さん何か
麻痺しちゃってるんじゃないの?」
そう言って、柊生がいつまでも見つめ続ける
検査キットを奪いゴミ箱に捨てた。
柊生は心底信じられない様子で
車に戻っても、嘘だ、嘘だ、、と呟いている。
「まだ匂いするの?」
聞くと柊生はゆっくり和真を見てコクリと
うなずく。
「何で?」
そう聞く柊生に
「いや、こっちの台詞だって」
と、和真がつっこむ。
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