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…
「ネギ~~~!!」
政実は会うなり人懐っこい笑顔をふりまいて
犬のように抱きついてくる。
しっぽがあったら、ちぎれんばかりにブンブン
振っている事だろう。
「久しぶりだな、なんやかんやで1ヶ月ぶり
くらいか」
「うんうん そうだねぇ」
政実は上着を脱ぎながら大将に向かって
生ちょうだい、と声をかける。
昔ながらの雑多な居酒屋。
カウンター席と、小上がりになった座敷の
テーブル席が6席あるだけの、ほどよい広さの店。
学生の頃から、男だけで集まるときはいつも
ここだった。
ずっと通っているから大将や店員とも顔見知りで
居心地がよく、出される料理も旨い。
「政実はともかく、和真はホント久しぶりだな」
大将がカウンター席に座っている和真たちに
ビールを出しながら声をかけてくる。
「だって無職だよ?ワタクシ
今日だってコイツが奢ってくれなきゃ
来てないからね?」
「え、奢りなんて言った?」
政実がとぼけた顔をするので、頭をひっぱたく。
「はは、やっといつものお前ららしくなったな
さっき和真が1人で入ってきたとき、
あんまりにも雰囲気 違って、一瞬誰か
分かんなかったよ」
大将の言葉にドキッとする。
「あー確かに…ネギなんか変わったかも」
「……あ、髪伸びたから?
金ないから美容院も行けないのよ~
はい、オツカレ~ 乾杯!」
和真は笑ってごまかした。
発情期があけて何日もたっていない、しかも
今回は薬が効かずアレコレあったため
雰囲気が違うなどと言われると冷や汗が出そうだ。
「ほっぺの怪我って、言ってた事故のせい?」
政実が頬を指差して聞いてくる。
「そうそう、奇跡的に軽傷!」
「良かったね~大怪我しなくて
じゃぁ聞こうか~? 何があったの?」
「うん…実はさ……」
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