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…
政実がトイレに立ったので、時計を見て
柊生に連絡だけ入れておこうと携帯を取り出す。
明日も仕事なのに、わざわざ迎えに来させるのだから
せめて、日をまたぐ前に帰りたかった。
トイレから戻ってきた政実に
じゃぁ 今度はそっちの話ね、と言うと
政実は話しを変えたいんだろ!?と笑いながら
返された。
それでも、話し始めたら怒濤の彼女自慢が始まった。
大学のサークルで知り合ったβの子で、高嶺の華
だったらしい。
久しぶりに再会してから、食事に誘ったりして
少しずつ距離をつめたらしい。
「俺と付き合う前まで、ずっとαとばかり付き合って
たんだって、それで疲れちゃったって」
「へぇ~」
よく聞く話だなと思った。
αは裕福な者が多いし、そうじゃなくとも容姿や頭や
何かしら優れた者が多いからだ。
でも実際付き合ってみると独占欲やプライドが高く
付き合いにくいタイプも多い。
「俺といるとホッとするんだって」
政実は酒も回ってさっきからニヤニヤが止まらない。
「大事にしてあげなよ
誰かに盗られないようにね」
和真は政実の肩を抱きながら、ちょっと意地悪に
言ってやった。
政実は あたりまえだろ~、と笑った。
「ネギもさ もっと俺を頼っていいからね」
政実は急に神妙な顔をして話し出す。
「は?何急に」
「俺に彼女できて付き合いにくくなったって
思ってたらやだなって思ってさ
…俺らはずっと変わらないでいこう
いつか、結婚して子供できたりしてもさ」
照れ隠しに目線を合わせずに話す政実を
逆にじっと見つめてしまう。
「その、今の人もさ実はスゲーヤバいヤツとか
だったらさ、いつでも連絡してよ!
俺 絶対助けに行くから!!」
「お前もな、ふられたら慰めてやるよ」
笑って、聞き流したようにふるまったけど、
和真は危うく泣きだしそうだった。
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