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…
「じゃぁ何してたの?言ってごらん」
「ふざけて頭を…ぐちゃぐちゃにされただけ!」
「へぇ~…」
柊生の無表情は変わらない。
ー これ何?俺 もっと言い訳するべき?
でも、政実と仲がいいのは事実だし…
変な嘘だってつきたくない
「…あれ?道、あってる?」
「気づいた?」
「…どこ行くの?」
柊生は相変わらず無言を貫き
ほどなく車は派手な電飾に彩られた妖しい
ホテルに吸い込まれて行った。
「ここ… な、なんで?」
「お仕置きだな」
「何の?」
「簡単に頭なんて触らせて?
まぁ本当かどうか知らないけど」
柊生がエンジンを切って、シートベルトを外す。
「ウチでいいじゃん!ウチでしよ!?
明日も仕事でしょ?」
「無理、我慢できない」
「はぁ!?」
「中でするか、ここでするかどっちがいい?」
ー ここ?
ここって車?
和真が絶句していると、柊生はさっさと車を降りて
助手席のドアを開ける。
「…本当に入るの?」
聞くと柊生は無言で頷いて、首で先を促す。
和真は諦めて ため息をひとつついて、車を降りた。
車で直接入れるタイプの、決して新しくはない
ラブホテルだ。
露骨で、品のないピンク一色の部屋に入ると
広いベッドの横に並んで、とんでもない存在感の
いかがわしいフォルムの椅子が目に入った。
立ちすくむ和真の背中でドアの閉まる音が聞こえる。
すぐに部屋の電話が鳴って、柊生が出る。
何度かハイハイと返事をして電話はすぐに終わった。
柊生は上着を脱いで、ネクタイを緩めながら
冷蔵庫を開けて中をのぞく。
ー いや、イヤイヤ、何で?
何でその椅子を無視できるの?
和真は入り口から動けない。
柊生はちらりと和真を見て、少し笑う。
「何?ラブホ初めて?」
和真は小さく首をふる。
それを見てまた柊生が また表情を無くした事に
和真は気づかなかった。
柊生は固まっている和真の手をひっぱって
中に引き入れ、ベッドに座らせる。
「それ、使わないよね?」
椅子を凝視して和真が聞く。
「使いたいの?」
柊生が意地悪な笑みを浮かべて聞き返す。
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