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…
和真は、ちぎれそうなほど 首を振った。
「でも、お仕置きだしねぇ
ピッタリかもね…」
柊生がミネラルウォーターを飲みながら
主張の激しい椅子を見に立ち上がる。
回りをぐるっと見て、構造を確かめているようだ。
ピンクの部屋の中で、その椅子だけが真っ黒で
とんでもない違和感だ。
合皮でできたその椅子は、まるで分娩台のように足を
広げて乗せる台があり、手足を拘束できるベルトが
ついていた。
「カズちょっと座ってみて」
「やっ イヤイヤ! 絶対やだ!!」
和真はゾッとして立ち上がった。
柊生はそれを見て面白そうに笑う。
「柊生さん、ここ来たことあるの?」
「ないよ、たまたま入ったら
こんな面白そうな物があっただけ」
ー コレ知ってて狙って入って来たとしたら
この人の性癖 結構ヤバいな
和真は唇を触りながら、さっさと済ませて
さっさとこの部屋を出るためには、どうしたら…?
と真剣に考える。
気づくと柊生が近づいてきて、和真の腕を掴んで
唇から手を引き離した。
「この癖、エロいよ」
「え?」
「不安な時とか、考えてる時、唇触ってる…
外でやらないで」
言ってじっと見つめられる。
和真は目をそらせず、その目を見つめ返した。
柊生は目をそらすと、また1人でベッドに座る。
「じゃぁ脱いで」
突然、冷めた声で言われ、和真は え?と聞き返した。
「見てるから、全部脱いで」
和真は無意識に、また唇に手をやりそうになって
ハッとしてその腕を反対の手で掴んだ。
「シャワーは? 一緒に…入らない?」
和真がねだるように聞いても
柊生は ただ首をふる。
「痕跡消したいの?」
刺すような視線を向けられて
和真は眉をよせる。
ー 本気で俺が政実となんかしたと思ってる?
少しずつ怒りがこみ上げてきた。
シャツのボタンに手をかけて外していく。
ー くそっ!俺なりに気を使って、早く帰ろうと
してたのにっ
ボタンを全部外して黒いシャツを脱ぎ捨て
中に来ていたTシャツも乱暴に脱いだ。
ー ビールだって、まだ飲めたけど
念のため 押さえ気味に飲んだんだ、、
ズボンのベルトを外してファスナーを下げ
チラリと柊生の表情を見ると、先ほどから変わらず
無表情のまま、片膝の上に肘をついて、頬杖を
ついて和真を見ていた。
和真はどうにでもなれ!とズボンと下着を一緒に
一気に下げた。
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