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柊生は反対に和真の頬をとらえて顔を近づけると 和真が自然と目を閉じた。 その顔をじっと見つめる。 ずっと ここに居ろよ。 そう言おうとして、言えなかった。 言ったらどんな顔するんだろうと思ったら 怖くて言えなかった。 今はまだ。 キスをすれば腕が背に回される。 舌で唇をなぞれば、柔らかく口を開く。 上顎をなぞって、舌をとらえて吸って すぐに呼吸が 甘くなる。 「柊生」 甘い声で名前を呼ばれて、頭の芯が熱くなった。 「カズが煽るから、毎日寝不足だよ」 「また、俺のせいかよ」 笑って否定するクセに腕も足も柊生に絡めたままだ。 ズルいな、と思いながらも ふれ合う肌の感覚に逆らえず、またベッドの海に 沈んで行く。

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