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…
「カズ、そういう時は見ないフリくらいが
ちょうどいいの。相手が自分に気があると
勘違いしたらどーすんの?」
「勘違いされるほど見ないよ」
「なんか、二人の会話
保護者と子供みたいだな」
笑いながら言われて、二人で黙りこんだ。
確かに、この会話はおかしい。
柊生が2人の関係をどんなに風に言ってるか
分からなかったけれど、まさかパパ活してるとは
言ってないだろうし。。。
二人の微妙な空気を察したように、三井が会話を
変えた。
「で、今日は?どうするの?」
「えっとね、こんな感じで…」
柊生が携帯の画像を見せながら話し出す。
「いや、あんたかよ」
三井が吹き出した。
「もう、めんどくさいから柊生さんの
好きにさせてください」
「め、めんどくさい!?」
「でも、これだとかけるから、2時間以上かかるよ
柊生ちゃん待ってるの?」
「大丈夫、仕事持ってきたから
ここでやりながら待ってる」
「溺愛だな~」
三井が鏡ごしに和真の髪をいじりながらニヤリと
笑った。
手早く丁寧に髪がカットされていく。20分と経たず
カットは終わり、一度流した後で髪が巻かれ始めた。
三井は女性にあれこれ指示して、1度担当変わります
と、言って立ち去った。
和真の頭はあっという間にロッドだらけになり。
女性も、しばらく時間おきます、と言って出ていった。
鏡ごしに柊生を見ると、パソコンから目を離して
同じように和真を見た。
「サザエさんみたいだな」
「言うと思った」
柊生は立ち上がって伸びをすると和真に近づく。
「帰っててよかったのに」
「あんな危ないヤツの所に1人で置いてけない」
そう言って部屋のそとに目線を投げた。
じゃぁ何で連れてきたんだ、と思ったけど
言わなかった。
「ねぇ 俺の事は何て話したの?」
そう聞いた瞬間、パソコンが置かれている
サイドテーブルから、携帯の振動音が聞こえた。
柊生はそれを手にとってすぐに、仕事の電話だ、と
呟いて、和真に謝りながら携帯に出ると、美容室の
外へ出ていった。
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