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「じゃ、寝よ」 もう一度ぎゅっと和真の肩を抱きしめて 額にキスをした。 しばらくの沈黙のあと、和真が小さく咳払いをする。 「明日、どこで会うの?」 和真の言葉に暗闇で目を開く。 「え、、?」 和真の声が小さかったので聞き間違えかと思って 聞き返した。 「明日、杏菜さんとどこで会うの?」 「ホテルかな?杏菜が泊まってるんだ 初めて会ったときのホテルに」 「え、部屋で会うの?」 「いや、ロビーか、ホテルのバーか… 長々話すつもりはないから… っていうか何?気になるの?」 胸のなかに顔を埋めたまま首を振って また、別に、、と答える和真に キュンとする。 「なるべく早く帰るよ」 そう言うと小さくうなずいて 和真はそれ以上何も聞いてこなかった。 翌朝も和真は様子がおかしかった。 仕事に出る準備をしている間も、チラチラ柊生の方を 見て何か言いたげにしている。 「今日ってさ、何を話すの?」 寝室で着替えていると、和真が部屋の入り口に立って 聞いてきた。 「何って、婚約解消の話しでしょ」 ネクタイをしめながら和真を見た。 和真はまた唇を触っていた。 「……本当に断っちゃって大丈夫なの?」 「大丈夫かどうかじゃなくて 大丈夫にするんだよ」 柊生の語尾が少しキツくなって、和真は少し たじろぐ。 「和真が気にすることないから」 和真が責任を感じる必要はない、という意味だったけど ちょっと言い方が微妙だったかな?と 和真の顔を窺った。 思った通り、和真は壁に寄りかかってうつむいていた。 「あー違う、ゴメン!」 和真にかけよって手を引いて抱き締めた。 「和真が心配する事は何もないからって意味だよ?」 「…うん…」 小さくうなずきながら、和真は柊生の背中を 弱い力でポンポン叩いた。 「本当に納得した?」 靴を履きながら聞く。 「…わかってるよ」 ー まずい…明らかに元気がない。。 「何か言いたいことあるなら、言って」 和真の頬をつまみながら言うと イタイ、イタイ、と和真が弱く笑った。

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