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洗濯物を取り込んで、たたみながら ボンヤリ窓の外の空を眺めていた。 少しずつオレンジ色に染まっていく空。 部屋の時計を見ると4時半をすぎた頃だった。 今日は時計ばかり見ている。 日中、下の階に行って、荷物の整理をして。 履歴書を買いに行って、記入して。 空いた時間で求人サイトを眺めた。 ハッキリ言って全然頭に入ってこなかった。 何をやっていても上の空で…。 ー 何時ごろ会うんだろう? 場所は聞いたのに時間まで聞かなかった。 仕事を定時で終わらせたとしても 7~8時頃からだろう。 もっと遅い時間の可能性もある。 そんな事を考えるのも、何度目か…。 その時、たたんだ洗濯物の下で携帯が鳴った。 鳴り続ける携帯をあわてて探す。 着信は政実からだった。 なんだ、、と内心肩を落とす。 「どうした?」 (オツカレー) 「ん?なんか声かれてない?」 (うん、俺インフルになっちゃった) 「まじで!?大丈夫?」 (昨日熱下がったけどまだ自宅待機。 ネギと会った翌日とかから熱出始めたから もしかしてネギにも移ってないかなって…) 「俺は今のところ平気だけど…」 自分に移っていたら柊生にも移ってるだろう 何度したか分からないくらいエッチしてるし…。 (その後どう?上手くいってんの?) 「ん~…まぁまぁかな…」 (あー何その感じ!元気ない! ケンカでもした?) 黙りこむ和真の電話の向こうで 図星だ!と笑いながらむせる声が響く (ネギはさ~素直じゃないからね~) 「何だよ それ…」 (昔からさ~ こっちがヒヤヒヤするような どストレートな言い方したかと思えば 回りくどくて何が言いたいのか、サッパリ 意味分かんない事言ったりもしてさ~ 自分で気づいてないの?) 「そうだった?」 (そうだよ! ちゃんと素直になれよ) 政実の言葉を聞いたら 頭の中の霧が 一瞬で吹き飛んだ気がした。 たぶん政実は意図せず言った言葉だろう。 でも、今の和真には衝撃的と言えるくらいの 威力があった。 「政実ゴメン、俺行くとこがあるんだ」

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