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27.君といたいだけ

約束の時間を少し過ぎてしまった。 足早にロビーに入る。 吹き抜けになっている広いロビーのラウンジには 何席ものテーブル席や、ソファーが並んでいる。 外国人も多い外資系のホテルでも 杏菜は独特のオーラを纏って、とても目立った。 1人掛けのソファーにゆったりと座ってコーヒーを 飲み、雑誌を見ている姿もモデルのようだ。 「ゴメン、お待たせ」 そう言いながらローテーブルを挟んで 目の前の席に座った。 「忙しそうね」 そう言って柊生を見上げて笑う。 「電車の乗りあわせが悪かったんだ」 言いながらウェイターにコーヒーを頼む。 「少し会わない間に…感じ変わったわね」 「そう?そっちは相変わらずだね」 「誉めてないでしょ?」 杏菜は長い黒髪を触りながら笑った。 「誉めてるよ。いつ会っても綺麗だ」 そう言うと杏菜は満足そうに微笑む。 「それで?この前の話しの続きがしたいの?」 「あぁ」 「……婚約解消なんて面倒なことする必要あるの? 別に お気に入りの1人や2人キープしてても 気にしないって言ったわよね? 私も自由にするし…」 「前にも話したけど子供を産みたいって言うんだ」 「それは、あなたが上手くコントロールしたら いいんじゃないの? 」 「俺も欲しいんだ」 その一言で空気が変わった。 杏菜の顔から表情が消える。 「俺がソイツをそんな風に置いときたくないんだよ 愛人とか…そんな形で縛りたくない」 以前ついたウソと和真の存在を混ぜて話す。 「つまりあなたがその子に入れあげてるのね」 頬杖をついて蔑むような目で見つめられる。 「そうかもね」 何とでも言えばいい。 そう思いながらコーヒーを飲む。 「がっかりだわ。 あなたのこと気にいってたのに」 「勝手なこと言って申し訳ないって思ってる」 言いながら頭を下げた。 「…もう1年待ってあげてもいいわよ」 「…は?」 「私は焦ってないもの 1年たったら冷静になるんじゃない?」 「無理だよ ウチの方は来年中に結婚させたいんだ」 そうこまで言うと、不意に杏菜の視線が自分を 通り越して、斜め上を見つめる。 何だろう?と振り返る前に よく知ってる 甘い香りがした。 そこには息を切らした和真が立っていた。

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