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「カズッ…なんっ…!?」 驚きすぎて一瞬腰が浮いてしまった。 一気に跳ね上がる鼓動。 ー 何で?俺ホテル言ったっけ? 和真は呼吸を落ち着けるようにゆっくり 肩で息をして、まっすぐ杏菜を見ていた。 「あら、あなたが噂のΩちゃんね」 杏菜は動じる事なく和真を見つめかえした。 ー 誰か助けて…何この状況。。 これって修羅場ってヤツじゃないの? 「座ってもいいですか?」 和真が聞くと杏菜が もちろん、と微笑む。 柊生の顔をチラリと見て和真は隣に座った。 同時に手を伸ばして、膝の上にあった柊生の手を握る。 その行動にも動揺したのは柊生だけで 杏菜は眉すら動かさなかった。 「帰れって言うなら 帰るよ」 握った手に力を込めて、和真がじっと柊生を 見つめた。 その手がひどく冷たくて、細かく震えていて 言葉に反して、その目が「追い返さないで」と 訴えていて、言葉がつまった。 「いいじゃない。居てもらいましょうよ 私も会いたいと思ってたのよ」 柊生は杏菜の顔を見た。 杏菜は品定めでもするように、和真を見つめている。 「可愛いわね。私も寝てみたい」 言ってクスクス笑った。 その言葉を聞いて柊生は、今まで感じた事のない 憎悪に似た不快感を杏菜に感じて、思わず睨み つけてしまう。 杏菜の言葉は ただのマウンティングだ。 αである自分の立場を示したくて 言わなくてもいい言葉で威圧している。 たしなめようと柊生が口を開こうとすると 和真がひき止めるように手を引っ張る。 「光栄です。こんな美人にそんな風に言われて」 和真はニッコリ笑った。 「いい子ね。でも欲張ったらダメよ。 子供が欲しいなんて、お利口さんは言っちゃダメ」 杏菜は前屈みに身を乗り出して声を潜め言った。 「彼にも言ったけど、結婚したからって あなたと別れろなんて 、私は言わないから 彼との関係を続けたいなら無茶言わないこと」

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