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平静を装っているけど、Ωに侮辱されて すごい威圧フェロモンを出してる。 ー 和真がスゴいことを言っちゃった 柊生は和真の発言に驚いて声も出なかった。 「柊生は最初から… 俺の事をそんな目で見た事なんて1度もない。 みっともないとこ相当見せちゃったけど だからって人を蔑んだりしない」 杏菜は 目を細めて和真を見つめた。 「あなたがさっきから話してるのって全部 柊生の外側ばっかり。仮にも何年もフィアンセ だったのに…そんなものしか見えなかったの?」 和真は淡々と言って、柊生の手を離した。 ゆっくりと前屈みになって柊生のコーヒーに 手を伸ばして、ちょうだい、といつもの調子で言う。 柊生はただカクカクうなずいた。 「さっき何て言ったっけ? 誰を相手にしてるのか分かってるのかって 言ったよね? あなたこそ分かってるの?」 「…何ですって?」 「確かに俺は何も持ってないし、こんな俺が 柊生と結婚なんて、想像もできない これからどうなるかなんて全然 分からない でも、柊生の子供を産むのはあなたじゃないっ」 和真の口調が強くなったのは最後だけだった。 それから柊生のコーヒーを1口飲んで テーブルに戻した。 「言ってくれるわね」 杏菜が歪んだ顔で笑った。 ひどく意地の悪い 笑い方だった。 これから杏菜がどんな言葉で和真を踏みつけるか と、柊生は冷や汗が出そうだった。 その緊張の糸をぶったぎるように バチンと音がするくらい強い力で 和真が柊生の頬っぺたを両手で挟んだ。 「へっ!?」 「こんなイケメンで、性格も頭も良くて 優しい人の子供を産むなんて 震えちゃうでしょ!?」 潰した顔を杏菜の方へ向けた。 突然の事に杏菜もポカンと口を開けて 柊生を見た。 「おまけに お金持ちでね」 言って和真がニッと笑って杏菜を見る。 それを聞いて杏菜がプッと吹き出した。 「ちょっと、ずるいわよソレ」

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