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…
「…うん、俺も…忘れない…」
和真の言葉がしみこんで。
胸にじんわり広がって
今なら何でも叶いそうな気がした。
だから口走ってしまった。
「す、
き、
だ、
っ」
内緒話しをするように、和真の耳に口元をくっつけて
抱きしめたまま。
和真は動かなかった。
怖くて顔なんて見れない。
沈黙が長く感じる。
ー ヤバい、、和真…困ってる?
「…もしもし?」
ー どうしよう、、言わなきゃよかった…
何でもいいから何か言ってくれっ
緊張で震えそうだ…。
それに気づいたのか、和真が背中に回した手で
背中をポンポン叩いた。
「お、
れ、
も、」
同じように口を耳に寄せて囁かれて
頭が沸騰したような感覚に襲われた。
「~~~っ叫びたい!」
「叫ばないで」
「とりあえず、もう一回しよう!」
和真の上にゴロンと のし掛かる。
「しません」
薄暗がりの中で和真が笑っているのが見えた。
キスしようと顔を近づけたら
サッと顔を背けられて、ドキッとする。
「えっ…なんで…?チューくらい…」
「チューしたらセックスになだれ込んじゃうでしょ」
「…しない、しないから…」
頬を押さえ込んで強引にキスしようとすると
和真が本気で暴れだした。
「いや、今の声絶対 "する時の声" でしょ!」
「ホントにしない、絶対しない」
ゆっくり吸い付くようなキスをして
はだけたガウンの隙から手を滑らせて
背中を撫でると、和真が腿を柊生の股の間に
割り入れてくる。
「しないんでしょ?」
「しないよ」
柊生が意地悪く笑った。
「したそうだけどなぁ~」
「柊生さんみたいに元気じゃないんだから
オレ死んじゃうよ」
そんな事を言いながら、自分も柊生のガウンの中へ
手を入れて、背中を撫で体を密着させてくる。
「…もう "柊生" でいいんじゃない?」
「ん?」
「さっきお芝居の時、しゅうって呼んでたじゃん
違和感なかったよ。もう "さん" はいらないから」
和真は少し考えて、分かったと頷いた。
「で?する気になったの?」
「しないよ」
和真はクスクス笑った。
「ただ、こうして眠りたいだけ…」
ー 柊生の肌の温もりを感じて寝たいだけ
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