「どこで？」 和真の心臓が音をたてて走り始める。 誓ってやましい事などしていなかったけど 相手が政実では、無意識で肩や手に触れている 可能性はあった。 前回、髪に匂いが残ってると言われたから 頭に触れさせないように、もちろん自分から 今までのように触れたりしないように…。 それなりに気をつけていたけど たまたまそんなシーンを目撃されていたら？ ー 2時頃…ってことは 政実の好きな古着屋を出た辺り？ その後は…不動産屋！？ そう思いたった瞬間、柊生の射ぬくような視線と ぶつかった。 「言えない事…してたの？」 握られた手首が痛い。熱い。 「……そんな事…何も…」 「じゃぁ…ちゃんと話して」 「…不動産屋の事？」 和真が言うと、柊生が朦朧とした顔で頷いた。 「…あれは…たまたま通りかかって 全然何も考えないでちょっと寄っただけだよ 政実もちょうど彼女と同棲するために 新しい家探してて…」 柊生が顔を手で覆ってため息をついた。 「俺が見てなかったら、物件見に行ったってこと 言わなかった？」 和真は押し黙った。 言わなかったかもしれない。 柊生がそんな事 聞いて気分がいいわけないし 「…ごめん」 深く考えずに、柊生に連絡もしないで 政実と2人きりでフラフラ出歩いて… 柊生は敏感で、独占欲が強いと知っていながら…。 「もういい」 そう言って柊生は布団を被って寝てしまった。 「柊生…ごめん…」 柊生は何も言わなかった。 しばらく考えて、とりあえず部屋を出た。 体温計と水を持って戻り、ベッドサイドの テーブルに置いた。 「飲み物置いとく…何か欲しいものある？」 少し待っても返事はなかった。 仕方なく部屋を出ようとドアを開けた。 「どこ行くの？」 振り返ると柊生が、少し体を起こして 和真を見ていた。 「コンビニ…スポーツ飲料とかゼリーとか … なんか買ってくる」 「ダメ」 「……」 「ここに居て」 「…うん」