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「…昨日は…ご」 「ちょっと!もう謝んないでよ? 昨日もう謝ってもらったし、俺も もう謝んないから」 「…そうか」 「柊生が俺にメロメロなのは分かったからさ 早く元気になってちゃんとエッチして 仲直りしよ!」 そう言って柊生の脇を唐突にくすぐった。 「こら、バカ!病人にやめろ!」 柊生が普通に笑ってくれてホッとする。 昨日みたいな切羽詰まった顔なんてさせたくない。 ー 俺の事なんかで悩まないでほしい 柊生の熱は夜には下がった。 夕食に和真が作った雑炊をウマイ!ウマイ!と 喜んで食べて、眠る時にはすっかり元気そうだった。 クリスマスの朝、熱が下がって出勤する柊生を いつものように玄関で見送る。 「本当に今日は何もしないの?」 「何にもって…病み上がりだし 家でちょこっと飲んだらイイじゃん キミちゃんとオシャレなご飯作っとくから 柊生はケーキだけ買ってきて」 「…了解…」 「仕事も無理しないでね」 そう言ってハグして、送り出した。 柊生はクリスマスをハデに祝いたくてしょうがない 様子だ。 クリスマスは何も特別な事はしないで 家で二人で過ごせればいいと言って、そうしようと 以前から決めていたのに。 和真も祝いたくない訳じゃない。 でも、柊生には普段から十分 非日常をプレゼント してもらっているから、もうこれ以上欲しいもの なんて無いのだ。 それに大袈裟なプレゼントを貰っても 現在 無職の和真には、何もお返しができない。 フル稼働で働いていたとしても、お金で買える物で 柊生が和真からもらいたい物なんて無い気がする。 もらうだけは辛い…。 だからクリスマスは絶対何もいらないと言ったのだ。 柊生もきっとそんな和真の気持ちに気づいていて しぶしぶ納得してくれているのだろう。 実際 家でゆっくり過ごすクリスマスは そんなに悪いものではないと思う。 好きな時に、好きなだけイチャイチャできるんだ。 和真は風邪を口実に、柊生を家で独り占めする 今日を 結構楽しみにしていた。

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