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31.Love truly
和真はイベントもサプライズも喜ばない。
それは なんとなく分かっていた。
一緒にいられるだけでいいなんて言われて
嬉しくない訳ない。1人で運転しながら
にやけるくらい嬉しい。
でも、あの日…杏菜に会った日
和真が来てくれたこと。言ってくれたこと。
全てが嬉しすぎて、舞い上がって、我慢できずに
勢いで好きだと言ってしまった事を
ほんの少し後悔していた。
エッチの勢いでベッドで言うものじゃなかった。
だからもう一度、あらためて顔を見てちゃんと
伝えたかった。
そのために結構…いや、かなり 無理を言って
3星レストランを予約をしたのに…
ナゼ、カゼ ナンテ…。
初めてのクリスマスだから何か思い出に残るような
特別な日にしたい、という気持ちも もちろんあった。
お金さえ かければ簡単に特別感を出せて
だいたい皆それを喜んでくれた。今までは。
だから、何もいらないという和真の希望は
本人は気を使ったのかもしれないが、むしろ逆に
柊生を悩ませた。
ー じゃぁ俺は、何したらいいんだろう?
仕事中も、あれこれ考えた。
でも結局分からなかった。
柊生はとりあえず和真が食べたがっていたケーキと
シャンパンを買って早めに帰宅した。
「おかえり、早かったね」
和真はいつものように、柊生の帰りを
嬉しそうに出迎えてくれた。
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