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「うぉぉ スゲー!」 食卓には思いの外、パーティーらしい華やいだ 料理がならんでいた。 「キミちゃんのおかげだね~ あ、俺もちゃんと手伝ったよ?」 「めっちゃいい匂いする~」 「準備しとくから、シャワー行ってきて」 「うん」 シャワーを済ませると 和真がアヒージョを持ってテーブルに置き 1人で 完成~、と満足そうに笑った。 柊生はシャンパン用のグラスを用意して 頑張ったね、と和真の頭を撫でた。 「ケーキよく買えたね、予約もしないで」 「おぉ、3件も はしごしちゃった」 「だろうね。お疲れさま」 他愛もない話しをしながら料理を食べて シャンパンを飲んで、テレビを見て。 ああ、これで良かったんだ、と柊生は充足感で 一杯だった。 結局、大切な相手となら、ちょっとの努力があれば どこでだって特別な時間は作れるんだ。 いつになく、はしゃいでいる和真が このままでは酔うな、と思ったところで 柊生がきりだした。 「話しがあるんだ」 言いながらテレビを消す。 「うん?」 柊生は小さな箱を机に置いた。 それを見た和真から笑みが消える。 「……プレゼントは無しって言ったのに 俺何も用意してないよ」 「料理して待っててくれたじゃん」 「…そんなの…キミちゃんがいてくれたから…」 「それでも嬉しかったんだ 俺、考えてみたら初めてかもなっ…て 家で 誰かと2人きりでクリスマスするの」 「ああ…そういえば俺もそうかも」 和真が首をかしげてつぶやいた。 「ホント?やった!」 「何それ」 柊生が喜ぶ姿を見て和真が笑う。 「やっと初めてが重なったなって」 「…そっか」 言いながら和真が箱を開けた。 中にはシンプルなシルバーの指輪が入っていた。 「カズはアクセつけないから嫌だろうけど 俺とおそろいだから つけてよ 着ける事がカズからのプレゼントって事で」 和真は無言で指輪を取り出して目の前にかざして 見つめる。 「…嫌?」 柊生はドキドキしながら和真の言葉を待った。 「柊生のは?どこ?」 「あ? えっと…ここ」 もうひとつケースを出す。 和真はそちらから指輪を出して、にっと笑った。 「じゃぁ着けっこしよう、はい!」 言いながら自分の左手を出した。 柊生は笑って和真の手をとり、薬指にはめた。

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