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…
空も飛べるはず…とはこんな感じか。
強く抱きしめ過ぎて
腕の中の和真が、痛い 痛い、と笑って暴れた。
それからあらためて話しだす。
「“俺は信用がない”なんて言わないでよ。
柊生がどうかじゃないよ
俺が、今はまだ自分自身を信じられない
ってだけ」
「…うん。分かった…
よし!今すぐ子作りしよう!!」
「バカ!人の話し聞いてた!?」
思わず手の届く場所にあったクッションで和真が
柊生を殴る。
「…冗談に決まってるじゃん」
殴られた柊生は、驚いた猫のように目を丸くする。
和真が腕から抜け出して起き上がり
冗談に聞こえないんだよな~と
ブツブツこぼした。
「実はさ、俺も…考えたこと無かったよ
自分が親になる事なんて」
柊生も一緒に起き上がって、つぶやいた。
「でも、最近は結構考えてる…
カズが妊娠したらいいのにって
思ったりしたこともある…」
「怖~っ!!」
カズがソファーの上で膝を抱えて小さくなった。
「実際ダメなのは分かってるし
ちゃんと理性もあるから大丈夫だって!」
ー ヒートの時にどうなるか自信ないんだけど…
「俺もちゃんとするから!
カズは何も心配するな!」
「ふふ、凄い気合い」
「気合いも入るよ。2人の未来のためだからね」
言って右手を差し出すと。和真は笑って自分の
左手を重ねた。
「ちゃんと話してくれてありがとう」
「ちゃんと聞いてくれてありがとう」
そう言って、どちらからともなくキスをした。
ー 来年もこうしていられますように。
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