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「二人の事だよ。どちらかが悪いというより ただ 合わなかったんだ」 (だからα同士は難しいって言ったでしょ) 「身に染みました」 (ねぇ、柊生…) 「はい」 (あなた他に好きな人が居るの?) 「……」 ずばり聞かれて言葉に詰まった。 変な汗がじわりと出てくる。 「いや…」 (そう…でもそんな人ができたら、ちゃんと 紹介しなさいね。 お祖父様はもう、次のお嫁さん候補探してるわよ) 柊生は やっぱり…という思いで溜め息をついた。 「俺、自分で相手見つけるから…もう、それ 要らないって、じいちゃんに言うよ… かわってくれる?」 (……分かったわ、ちょっと待ってて) 柊生は それから30分以上、電話口で怒鳴られ 聞きあきるほどに、α以外の相手は認めないと 言われ、柊生もその事で今 下手に食い下がれば 和真の事を勘づかれるかもしれないと グッと言葉を飲み込んで耐えた。 「とにかく!もう、お見合いはしないしっ しても断るから相手に迷惑かけるし 余計なことしないで!」 最後は終わらないループを 断ち切るように言って電話を切った。 ー ダメだ頭が固すぎて理屈が通じない 不毛な会話を続けてパワーを吸いとられた…。 柊生はため息を吐いて寝室の方を見る。 とっくに洗濯も終わってるだろうに 和真が出てこない。きっと気を使って 会話を聞かないようにリビングに来ないのだ。 「カズ、終ったよ」 声をかけながら寝室に入ると 和真は明るい部屋でベッドに横になって 背中を丸めて寝ていた。 柊生も一緒に横になって 後ろから和真の細い腰に腕を巻き付けた。 首筋に顔を埋めて、深く息を吸い込むと 和真の甘ったるい匂いが胸いっぱいに広がる。 「…大丈夫?」 和真が寝ぼけたような声で聞いてきた。 「うん、大丈夫」 「…そ、お疲れさま」 「…うん」 そのまま二人でしばらく眠ってしまった。 穏やかな1日だった。 そして和真の忘年会の日が来た。

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