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33.UB

車を降りて無意識に早足になってしまう。 誰かに見られていた気がして、勝手に一人で 恥ずかしくなり、傘で顔を隠すようにして歩いた。 店には、すでに政実の姿があった。 「政実の方が早いってめずらしいな」 「おう!」 上着を脱いで政実の前の席に座る。 今日は高校時代からの友人2人も来る予定なので 座敷の1番奥のテーブル席だ。 「何よ話しって」 政実が早々に切り出してくる。 実は、話したい事があると伝えて、政実だけ 皆より30分早く来てもらったのだ。 「うん、とりあえず飲もうかな」 ビールを注文して、政実が食べていたお通しを 一口もらう。 「あ、そういうこと」 突然 真顔でそう言われ、和真はキョトンとして、 は? と聞き返す。 「指輪」 「……お前、めざといな」 「何年 一緒にいると思ってんの。 アクセなんて着けないネギが、いきなり左の薬指に 指輪なんてしてきたら、大体 話し見えちゃったよ」 和真は そっか、と笑った。 「で、相手は?例の同居人?」 「まぁ、そういうこと」 政実はため息を吐きながら壁に寄りかかった。 「まさかホントにそんな関係になるなんて… ならない方がおかしいと思う反面 ネギが会って間もない人とそんな… なんだろ…ショック」 「なんだよ それ」 和真は笑いながら、運ばれてきたビールを飲んだ。 「弟が、いきなり 家に彼女連れて来た、みたいな 分かる?この気持ち」 「分かるかよ!」 はぁ~、と、何度も深いため息をつく。 「…αの人って 大変じゃない?」 「まぁ そうだね、ちょっと怖いくらいの やきもち焼きかな」 「だろ? αじゃなくてもさ、そんな金持ち 育ちも全然違うし…話しとか合うの?」 「それは意外と普通ってゆうか… え、何?今日は結構突っかかってくるね」 「……ゴメン突っかかってた? だってショックなんだよ~俺のネギが~!」 言いながら頭を抱える。 「誰のネギだよバカ!」 冗談だと分かっていながらも、そんな事言われると まだちょっと動揺してしまう。

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