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「とりあえず、そういう関係になった事は伝えとくよ まぁ、政実の言うとおり、育ちが違うし 今は珍しさで面白いと思われてる所も、そのうち 飽きられて、やっぱりサヨナラって… あっさり捨てられるかもしれないけどな」 和真が笑いながら言った言葉に、政実は笑わなかった。 「捨てられる事はあっても 自分から捨てる事はないって感じ?」 ー なんだ? 今日は 本当にやけに突っかかってくる 「政実なんかあったの?」 「別に何も無いけど」 「…あ、そ… もうひとつ…話したい事があるんだ」 「なによ、これ以上驚くこと?」 「そうかもな」 「こえー…」 政実は苦笑いでビールを流し込んだ。 「今から話すことは…まだ皆には言わないで ほしいんだ。とりあえず政実だけには言って おきたくて…」 「え、何それ、まじで怖くなってきた」 和真は声を落とすために、机に肘をついて 前のめりになり、政実にも手招きで近づくように 促した。 政実は表情を固くしながら近づく。 「俺、本当は … Ω なんだ」 政実が声も出せずに、目を見開く。 「ずっと、言えなくてゴメン」 「…嘘だろ、じゃぁ、あの時…」 「お前との関係を壊したくなくて 今まで言えなかったんだ…。 でも、俺もこの前…政実が言ってくれた気持ちと 同じだから、言うなら今しかないと思って」 「……俺が…言ってたことって?」 「ずっと変わらずに付き合っていきたいって事 どちらかが結婚したり子供ができたりしても」 政実の表情は変わらない。 混乱して気のきいた言葉なんて出てこないんだろう。 いつか結婚したり子供ができたり…。 実際にそうなった時に話すのでは遅すぎて それこそ、それがきっかけで疎遠になってしまい そうな予感がした。 だから先に話したかった。 「お待たせ~ ! 何お前ら先に集合してたの? 相変わらず仲いいなぁ~」 陽気な声が聞こえて友人2人が到着した。 和真は政実に目線を送り、政実はとりあえず 頷いて返した。

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