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「あれ?なんかネギ太った? ってゆうか… 感じ 変わった?」 「最近それ、言われすぎて聞きあきたよ」 「そりゃ雰囲気も変わるよな!ネギ」 いつもの軽い感じで政実に話を振られる。 「あれ?私 何かありましたっけ?」 「しらばっくれるねぇ」 政実が言いながら、メニューを見ていた和真の 左腕を握って、2人の前につきだした。 2人はしばらくキョトンとした顔で手を見つめて えーまさか? と声を上げて騒ぎ出す。 それから 政実に話したのと同じ話しをして 同じような突っ込みをされて… 高校時代の話しまで話が飛んで… 皆 酒が進んでいった。 だいぶ皆アルコールがまわって来た頃。 トイレから戻って来た政実が低い声で 耳打ちしてきた。 「なんか あいつらネギのこと見てる」 え、と振り返ると、カウンターに座って飲んでいる やたら体格のいい二人組の男と目があった。 素知らぬ顔で目を反らして政実を見ると ね、という風に首を傾けてくる。 確かにニヤニヤして嫌な感じだった。 「まぁ ほっといたらいいよ」 和真は特に気にする事もなく、そちらを見るのを やめた。下手に目が合って、誘われたなんて 言われたら面倒だ。 「カウンターの客、気をつけろよ」 しばらくして、飲み物を運んで来た大将が ビールをテーブルに置きながら言った。 4人が一斉にそちらを見ようとして 大将が低い声で、バカ見るな、と注意する。 「さっきアイツら和真のこと話してた Ωかβかどっちだって…」 政実が あからさまに心配そうな顔で和真を見た。 「トラブルになりそうなら早めに言えよ? 警察呼ぶから。間違ってもお前らから手出すなよ」 「ありがとう」 大将は何事も無かったように厨房に戻った。 「まぁ大丈夫じゃない? こっちは4人だし」 政実の隣に座ってた山田が気楽な感じで言った。 もうだいぶ酔いがまわって、顔も真っ赤だ。 「そうだよ、気にしないで飲も飲も!」 和真も笑った。 政実だけがソワソワと落ち着かなくなり 皆の話しも上の空で、何度も、話し聞け!と 突っ込まれていた。 嘘がつけない性格だとは思ったけど 挙動不審な政実のせいで、むしろΩだとバレそうだ。 よりによってΩだと告白した日に こんな事になる なんて。タイミングが悪かったな~ と 話したことを、ちょっと後悔した。

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