170 / 234

「変だと思ったんだ、あの時。 ネギは俺がする事、めんどくさいって言いながら だいたい付き合ってくれるのに…あの時は やけにムキになって…考えてみれば、他にも いっぱい あれ?って事、何度もあった」 「騙してて ゴメン」 「………俺さ、実は、ネギは俺のこと 好きなんじゃないかって思ったこと 何度かあったんだ」 和真は政実の顔を見れずに、笑って歩き続けた。 心臓の音が政実に気づかれるんじゃないかと思う くらい うるさく鳴った。 「でも、β同士でそんな事… まさかなって …俺も…変なこと言って2人の関係が壊れるの 嫌だったから聞けなかった」 あと少し、あと少しでロータリーだ 約束した時間にはまだかなり早い。さすがにまだ 柊生は来てないだろうけど…。 こんな風にひとつの傘で歩いてるのを見られたら なんて思われるか…。 早く政実を帰さなきゃ…。 それにしても…話しの方向がマズい。 こんな話し、適当に流せるわけない。 「大学の時、あの子…Ωの…あの時さ…」 「その話しは もうやめて」 ずっと二人の間で禁句になっていた事件に 政実が触れようとしたので、思わずそれを止めた。 政実が驚いて和真を見た。 「……もう終わった事だよ。全部。」 「…うん、そっか…」 駅についた。それとなく停まっている車を見回し まだ柊生が来てない事にホッとする。 「うん、終わったんだ」 そう言ってまっすぐ政実を見た。 ー 全部過ぎた事だ。 あの頃 俺がどんなに政実の事を思ってたか 政実が俺の事をどんな気持ちで見てたか 今さら言っても意味なんてない。 俺たちは もう、それぞれの道を歩き出したんだ 政実は何度か頷いてから、少し笑った。 「ケンカしたら連絡しろよ! 今度は俺が一晩中話し聞くからさ」 「ああ、頼むよ。俺は今まで 相当 お前の話しに付き合ってきたからな~」 そんなにしてないだろ!と2人で笑いあった。 「もう行けよ。やきもち凄いって言っただろ 一緒にいるとこ見られたら、面倒なんだ そのうち、ちゃんと紹介す…」 言い終わる前に強い力で 政実に引き寄せられて 気づいたら腕の中に抱きすくめられていた。 ー ああ…やってしまった。 これはもう、ガッツリ匂いがついて 一晩中責められるに違いない。

ともだちにシェアしよう!