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「すみません、こんな時間に」 「ホント、君と会うときはいつも夜中だね」 「柊生…は?」 「…警察に行ったよ。車も取ってくるって」 「え?」 和真が驚いて少し頭を上げた。 「いろいろ手続きとか…かな?」 「大崎さん、俺は平気だから柊生のとこ行って! 柊生今パニクってて、 現場でもケンカになりそうで… 1人にしとくの心配なんだっ」 傑はキョトンとした顔で和真を見つめて 吹き出した。 「誰が誰の心配してるの」 「え?」 「あ、いやゴメン。柊生君は大丈夫だよ さっき会ったけど落ち着いてたし、抑制剤も 飲むように言ったから さっきまでは確かにフェロモン出すぎて 興奮状態だったかもね」 「…フェロモンのせい?」 「もちろんそれだけじゃないだろうけど あれはキツかったね、本人も回りも 俺でも話してるだけで、体調悪くなったし」 「……そっか…フェロモンって …あれこれ大変…え、本人も?」 「うん。本当は結構キツいと思うよ でも君にはキツくなかったんだね 柊生君に手を握られて安心して眠ってたよ」 和真が気まずそうに笑った。 「大崎さん、番って噛まれて挿れられて… 同時にされなきゃならないよね?」 「…まぁそうだね」 「俺…正直、噛まれた後から記憶が曖昧で 自信がなくて…柊生には大丈夫だったって 言ったけど…」 「噛まれる前の事はハッキリ覚えてるの?」 「ハッキリというか、その前までは どうやって 逃げようかって考える余裕があったから 意識はちゃんとあって… 髪をつかまれて、壁に叩きつけられて、それから すぐに首に痛みが走って… そっからパニックで、もうワケわかんなくなって とにかくめちゃくちゃ暴れて…それからたぶん… 首を締められて…朦朧としてきて… でも気を失う前に、柊生が来てくれた」 「心配なのは噛まれた後で、それ以前に 性交はなかったって事は自信があるんだ?」 「…うん…大丈夫、絶対大丈夫…」 和真は自分に言い聞かせるように呟いた。

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