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ー 首が痛い。我慢できないほどじゃないけど ジリジリ勘に障る… 噛まれた瞬間の肉が引き裂ける感覚と 腕で首を圧迫された息苦しさがリアルに甦る。 ー 夢?夢だ俺は夢を見てる 早く起きなきゃ… 上半身を、壁に押さえつけられて、 寝技でもかけられたように、体の自由を奪われ もがけば、もがくほど意識が飛びそうになった。 男が噛みついたまま、自分のものを 和真の後ろに合わせて強引にねじ込もうと するのを必死で暴れて逸らす。 ー ダメだ。もう意識が… メリメリと下半身に痛みを感じて 入ってくる感覚に息が止まった。 首を圧迫されていた力が抜けて 後ろから聞こえてくる吐息が熱っぽく、短くなり 規則性をもって腰が揺れる。 薄れる意識の中で、少しだけ首を回して後ろを見ると 口を和真の血で染めた柊生が笑っていた。 額にヒヤリと冷たい感覚がして 目が覚めた。 「体調悪い?ちょっと熱っぽい…かな」 柊生が手のひらを和真の額に当てて 心配そうな顔で覗きこんでいた。 「え、あれ? お帰り…何時?」 「3時前。ただいま」 「え、早くない?」 「早く帰るって行っただろ」 「…早すぎでしょ…無理したんじゃない?」 「無理くらいするでしょ …? なんか震えてる?怖い夢でも見た?」 「…うん…そうかも」 言いながら和真が両手をひろげた。 柊生は微笑んで、和真の上に被さるようにして 抱きしめた。 小さく震えている肩を優しく擦る。 「…ケーキ買ってきたよ。食べられそう?」 「……その前にエッチしたい…」 和真が柊生の首に回した腕に力をこめた。 「まだ着替えてもいないし」 柊生が笑いながら起き上がろうとしても 首を振って柊生を離さない。 「……柊生…もう俺としたくないの?」 「何言ってんの。そんなわけないでしょ」 「…じゃぁ しよ」 「…カズ…焦らなくて大丈夫だから」 「っ焦ってない」 和真が柊生のボタンをはずし始める。 「カズ」 「してくれなきゃ 怖い夢見ちゃう お願い。抱いて」

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