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“抱いて” なんて言葉を和真が言った事に驚く。 和真はセックスに対して消極的ではないが 実は意外に照れ屋なのを 柊生は知ってる。 普段の和真だったら、もっとライトに上手く誘う。 呆然としている間にネクタイもシュルシュル外されて 柊生はあっさり 流されそうになった。 ー 明らかに普通じゃない… こんな状態のカズを抱いて、本当に大丈夫だろうか? ー でも、そんな顔でそんな言い方されたら 逆らえないんだ! 和真の頭の両脇に両手をついて 見下ろす。 「無理してない?体痛いんじゃない?」 「痛いよ、いたくてウンザリしてる 忘れちゃうくらい激しくして 優しくなんてしないで」 それを聞いた瞬間柊生の熱がスッとひいた。 「…痛いんじゃん、何で言わないの」 「言ったじゃん今」 「鎮痛剤、最後飲んだのいつ?」 「間隔ならもう空いてるよ」 「じゃぁ 飲もうよ」 「…飲んだら眠くなるし 変な夢ばっかり見るから…嫌っ 我慢できない訳じゃないし…いらない」 イライラするように荒っぽい手つきで 開いたシャツの間から柊生の肌に触れる。 柊生はその腕を掴んで止めた。 「もう そばにいるから、薬飲もう」 優しく言うと和真は唇を噛むようにして 柊生を見つめた。 「飲んだら…する?」 「…カズ そんなに誘わないで」 柊生は笑いながら、薬を取りに行こうと立ち上がった。 その腕を和真がグッとつかんだ。 「…お願い」 涙でいっぱいの 赤い目で見られて 柊生の理性が飛びそうになる。 和真が言うようにめちゃくちゃに抱きたい そんな衝動にかられた。 和真が起き上がって柊生の口に触れるだけの キスをする。 柊生の頬を両手で挟んで、遠慮がちに、何度も。 ー あぁ ダメだ……… 弱いな、俺… キスに溺れるみたいに、2人でベッドに倒れこんだ。 和真のシャツのボタンを外そうとすると 手を止められる。 「…今日は…脱がなくていい?」

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