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「ま、待って!」 髪を掴まれたまま、トイレの個室に引き込まれて 奥の壁に勢いよく頭をぶつけられた。 あまりの衝撃に一瞬目の前が霞んだ。 ー さっきまでと様子が違う まずいな、意識飛ばそうとしてる? こいつ本気だ…本気で噛む気だ 「ねぇ 待ってっ!!人が来る! 場所変えよう!ね!ゆっくりできるとこっ!」 脱がされないよう必死で抵抗した。 顔を壁に押し付けられて、上半身ごと 押し潰すようにして、動きを封じられ 呻いた。 圧倒的な体格差を前に、必死の抵抗むなしく ズボンを下げられて、下半身が外気にさらされる。 「やめっ…、やめて!」 「…いい子にしろよ…気に入ったら ヒートの度に可愛がってやるから…」 ざらざらした声で後ろから囁かれた、その瞬間 首に痛みを感じて、全身の毛穴から汗が噴き出す。 ー 噛まれた! ブチブチ肉が裂ける痛みに息がつまった。 「…っう、うぁぁぁ!!」 何も考えられなくなって 渾身の力で暴れた とにかくこの腕から逃れようと 「おとなしくしろ!刺すぞ」 腕を首に回されて強い力で圧迫され 息が吸えなくなって 手足をバタつかせてもがいた。 「ウゥッ…ゥ…」 もがくほど頭に血がのぼって 朦朧として… ー このままじゃ番にされる! いや、番どころか… このまま殺されるんじゃ…。 そんな事を遠のく意識の中で考えていた。 「 和真 !」 その声が聞こえて呼び戻された。 まさに天使の声だった。 ・ ・ 「柊生が来てくれて…結果的には 噛まれただけで 済んだんだ…俺たちは…アイツに何も壊されてない 勝ったんだよね…!」 「カズ……」 柊生が握っていた手を引っ張って ぎゅっと抱きしめた。 「でも……あんな状況だったけど…… 自分からフェラしてやるなんて言った事 死ぬほど悔しいし後悔してる……。 思い出す度、罪悪感で息がつまって… 柊生に黙っているのがしんどくて…」 「……うん…」 「ごめん…こんな話し…」 「謝るの禁止だって言っただろ……」 柊生が和真の背中をポンポン叩いた。 「時間稼いでくれてありがとう… 本当に…間に合って良かったよ」 柊生の胸の辺りが温かく濡れて 和真が泣いている事に気づいたけど あえて何も言わずにおいた。 「……そんな事気にしてたのか…バカだなぁ…」 「バカって言ったな…」 ふたりで声を潜めるように笑った。 「大丈夫だよ…何も変わってない」 柊生は抱き締める腕に力をこめて 和真の額にキスした。 「ね、もう一回 大好きって言ってよ」 和真がクスクス笑った。 「……… 大好きっ 」 ー 大丈夫、大丈夫だ…

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