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ふざけてごまかしたけど違う。 フェロモンが全く関係ないとは言えないだろうけど それだったらそれこそ、最初の晩に無理矢理でも 和真を抱いてただろう。 ー 俺は理性で和真に惹かれてた 初めて目が合ったとき。あの目を見た あの瞬間に、きっと、もう始まってたんだ。 「のぼせちゃうね、もう上がろ」 立ち上がろうとする和真を引っ張って 沈めてキスをする。 キスが深くなる前に、和真が逃げるように 唇を離した。 「…勃っちゃうから、やめて」 「いいじゃん、もう一回するでしょ?」 「……今度は部屋でゆっくりがいいんだ」 ー 何ですと? この子、妖精みたいに無垢な顔して 何でサラッとエロい事言うの? 「……うん、じゃぁ早く上がろうか」 「柊生、急にせっかちだな」 和真はクスクス笑いながら柊生に付いて行く。 我が儘を言われることが嬉しいなんて もう、病気だなと、思う。 ー 結局俺はこんな風に和真に転がされて 生きて行くんだろう でも、悪くない。 むしろ幸せだ。 寝室で和真にねだられたように ゆっくり肌を重ねた。 窓からの月明かりと、すっかり耳に馴染んだ 川の音の中で。 ゆっくりでも深く…。 自分の中に溶けてくような顔の和真を ずっと見つめながら抱くと、緩慢な動きの 静かなセックスのはずが あっという間に上り詰めて 2人はすぐに弾けた。

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