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ー あ、年が明けちゃった…。 目が覚めてしばらくボーっとして思い出した。 ベッドでした後、室内の温泉に入り、温まったら 遠出の疲れのせいなのか、ベッドでイチャイチャ しているうちに眠ってしまった。 12時に乾杯しよう、なんて言ってたのに…。 外から聞こえる元気な鳥たちの声に起こされた。 まだ薄暗い、太陽すら出てない時間なのに あっちでもこっちでも大声で挨拶し合っている。 早朝に起きてしまったけどスッキリ脳が覚醒して 不思議と、もう一度目を閉じようとは思わなかった。 よく寝た、と実感できる目覚めだった。 和真の腰に手を乗せてスースーと寝息をたてて 隣で柊生が眠っている。 その腕を、そっと下ろし ベッドを抜け出すと、窓の外に目をこらして見る。 外はチラチラと雪が舞っていた。 治り始めた首もとがチリチリと痒い。 和真は洗面所に降りて行って、鏡を見ながら 絆創膏のような被覆材をゆっくり剥がした。 柊生のこまめな手当てのおかげか 化膿することもなく順調に治ってきている。 でも、まだ、さらけ出して歩くには 見るに耐えない傷痕だ。 絆創膏は、もはや傷を隠す為だけに貼っていた。 和真はタオルだけ持って、露天風呂へ向かった。 ずっと雪景色の露天風呂に憧れていた。 まだ薄暗いけれど景色を眺めながら入るには 十分の明るさだ。 時々舞っている風花も美しくて、まるで絵画の 様だった。 川の流れる音も、鳥の声も全部で1つの作品に なっていて ピンと張りつめるような冷たい空気すら 心地よい。 こんな世界を独り占めして温泉に入れるなんて もう、2度とないかもしれない。 しっかり目に焼き付けておこう…。 屋根付きのため、雪は直接風呂に落ちる事は 少ないけれど、時折風に舞って、和真の所まで やってくる。 和真はそれを手のひらで受け止めて眺めた。 自然も温泉も、全部が自分を癒してくれるような 気がして、目を閉じてゆっくり息を吸い込んだ。 「寒くないの?」 後ろから声を掛けられて振り返ると 柊生が眠そうな顔で、自分こそ寒そうに 体をすくめて立っていた。

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