220 / 234

「今日はこれからどうするの?」 部屋に戻る頃には雪は止んでいて、雲の切れ間に 青い空が見えていた。 手を繋いでのんびり歩く。 「どうしよっか?初詣行く? 都内の有名な所は死ぬほどこんでるだろうし こっちで行っちゃうのもいいかなって… なんか元日はお祭りみたいなのやってて 出店が出てるらしいよ」 「おぉ…いいじゃん、行こ!」 「じゃぁ、決まり!」 柊生が連れていってくれた神社は こじんまりとして、派手さは無いものの なかなか風情のある佇まいで、 それなりに人も多く、参拝するまでの長い列が できていた。 境内には巨木が ご神木として祀られていて 苔むしたその木は、近づいて見ているだけで パワーがもらえそうな気がした。 和真はその木を携帯で撮って、待ち受けにセット した。 柊生はそれを見て渋いな、と、からかいながらも 後で俺にも送って、と笑った。 「お守りも買わなきゃね!」 お参りを終えて柊生が和真の腕を引っ張った。 「そう言えば去年お守りとか買ってないなぁ 初詣も行ってないかも…」 「まじで?」 政実の家で恋人いない奴ら4、5人でカウントダウン しながら飲み明かして、翌朝、初詣に行く予定が 皆二日酔いでグダグダになり 結局行かないで終わってしまったのだった。 二人でお揃いの厄除けのお守りを買った。 「今年はいいことあるよ」 柊生は笑って頭をポンポンと優しく叩いた。 それからまた車で移動して、景観が美しい アウトレットにも立ち寄った。 こちらもそれなりに混んでいたけれど 都会のそれとは違い、ゆっくり初売りが楽しめた。 例によって、柊生は和真の物ばかり買い漁って ダムが決壊したような浪費ぶりに 和真はドン引きしつつも いらない、と言うと柊生がシュンとするので ある程度好きにさせて、途中で、疲れちゃったから お茶しよう、と誘ってストップをかけた。

ともだちにシェアしよう!