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…
「カズ他に欲しい物ないの?」
ラテを飲みながらアウトレットのマップを
見つめて柊生が聞いてくる。
「俺?俺はもういっぱい買ったじゃん(柊生が)」
「俺が買ってるだけじゃん
カズが欲しい物、無いの?」
「これだけ買ったらもうお腹いっぱい」
といっても手荷物はない。
柊生はまとめて買って全部家に送らせる。
以前都内で買い物した時は住所や名前を伝えず
また送っといて、で済ませていたから
きっと毎回そうなのだろう。
ー 実際荷物になった方が
こんなに買ってしまった!と
冷静になるのに…。今度は、すぐ見たいから
送らないで、と 言ってみようか…。
次の職場はオフィスワークだけど
スーツ着用を義務付けられていない。
それでも絶対使うからと言われ、またスーツも
買った。靴も。ネクタイは柊生とお揃いで。
「柊生こそ何かないの?自分のは、あんまり
買ってないじゃん」
「なんか色々あった気もするんだけど
見てるうちに、いつの間にかカズの物
見ちゃうんだよね~」
「愛だねぇ」
和真はコーヒーカップを両手で包んだまま笑った。
それを見て柊生もつられて笑う。
「じゃぁ一通り買ったし、行こっか」
宿に戻る前に、こちらでは有名な古い教会に
立ち寄った。
森の中にポツンと置き去りにされたような
小さな教会は、蛍の光のように、沢山の蝋燭の
暖かい光でライトアップされていて、
回りの景色から、ぼんやり浮かび上がって見えた。
冬の間ライトアップされてるらしく
人気の観光スポットなのだろう
2人が訪れた時も、既に何組かのカップルが
ロマンチックなシチュエーションの中
写真を撮っていた。
「俺、本当の教会って初めて来たかも
レトロな雰囲気が暖かくていいね」
「うん、木の感じも、派手すぎない
ステンドグラスも…カズみたいだね」
「どんな比喩だよ」
三角屋根の教会の中を眺めて
一番後ろの椅子に、並んで座った。
「カズはどんな結婚式がしたい?」
「は?俺? 唐突だな…考えた事もないよ」
「…だよな、良かった。俺も」
言いながら柊生は気まずそうに
うつむいた。
「結婚式は…うちの場合俺が何か口を挟める
次元の物じゃなくてさ、家の為の儀式だから…」
「……ああ、うん」
「カズが何か夢見てた形があったら
申し訳ないなって…」
ー はい?何の話し?
なんか色々すっ飛ばされてる気が…
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