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「結婚式なんて本当に、ただただ面倒なだけの 儀式になると思うんだ…ごめんね…」 「え、ちょっと、なんか既に結婚が 決まったみたいな会話になってるけど?」 「……え、しないの?」 柊生がきょとんとした顔で和真を見る。 「いや、そういう事じゃなくてさ、気が早い って言うか…まだご家族にも会ってないし… そもそも俺たち会ったばかりだし…」 確かに結婚前提だとは言われてたし もちろん自分もその覚悟をして、この 付き合いをスタートさせたけれど 結婚式の話しをするには、さすがに時期尚早だと 思ってしまう。 「…俺カズの仕事が落ち着いたら、少しでも 早く親に会ってもらいたいと思ってる」 「…う、うん」 「すぐに会わせない理由は、ある程度根回しをして 少しでもカズへの風当たりを弱くしたいって 思ってるからだよ。 他の理由なんてない。 親はともかく、ウチは祖父が全ての決定権を 握ってるから…そっちが色々大変だと思うけど 負けないで、一緒に頑張ってほしい」 柊生が腿の上で手のひらを広げて待つ。 和真は笑ってその上に自分の手を重ねた。 柊生は年上だし、しっかり者だし、いつも 頼ってばかりの自分が、こんなこと思うのは 変かもしれないけど…。 柊生は、時々子供みたいに純粋な顔をする。 まっすぐで、いじらしい…。 そんな顔で“一緒に”と言われた事が 素直に嬉しかった。 「大丈夫だよ。一緒なら」 「ホント?約束な?」 「……そんなに念を押されると怖くなるからヤメテ」 「…まぁ、心の準備はしといて」 「味方してくれるんでしょ?」 「もちろん」 「じゃぁ、きっと平気だよ」 和真は笑って返して、回りを見回した。 数人のカップルがいたけれど誰もこちらを 気にしていない。 チュッっと素早く柊生の頬にキスして離れた。 柊生がやったな、という顔で和真を睨む。 「襲うぞ」 「神様の前で下品だから やめて」 2人で声を潜めて笑った。 まるでそこに2人しかいないみたいだった。

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