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「…え、聞こえなかった もう一回言って」 「いや、2度と言わない ってゆうか絶対聞こえてたでしょ」 「いや、ホント、もう一回…」 アホなやり取りをしながら浴室を出た。 「飲む?」 リビングのソファーに座ると 部屋に用意されてたワインとグラスを 柊生が持ってくる。 「うん。あ、スゴいちゃんと オツマミもあるじゃん」 広いリビングで乾杯した。 くの字に置かれた大きなソファーに それぞれ座る。 「実はさ、渡したいものがあるんだ」 柊生がワインをひとくち飲んで和真を見た。 和真はリスのように小さな口でチーズを チビチビ食べていた。 「え、また何か買ったの?」 和真が怪訝な顔で柊生を見た。 「うん」 立ち上がって、荷物の中から紙袋を出して 持ってくる。 中から箱を2つ出してテーブルに置いた。 長方形の箱と四角い箱。 特に華美な包装はされていない。 「なんだろ、怖いな」 和真が思わず自分の唇を指でなぞった。 「俺も怖い」 柊生が大げさに深呼吸をした。 「開けていいの?」 「うん、開けて」 和真が恐る恐る手にとって四角い箱から開けた。 「ん? 時計?」 「…まぁ、そうだね いわゆるウェアラブルウォッチ」 「スゴい!かわいいじゃん 俺実は時計欲しかったんだ」 「え、何それ。初めて聞いた 何で言わないの?ムカつく」 「ムカつくって…いや、忘れてたんだよ 遠慮とかじゃないから」 「だったらちゃんとしたやつ買ったのに…」 柊生がムッとした顔になってブツブツ 言い出したので、和真は慌ててもう1つの箱に 手を伸ばした。 開けた瞬間顔が固まる。 柊生も和真の顔を見つめて固まり 顔を手で覆った。 「これってアレだよね…」 「そうだね…」 「チョーカーってやつだね」 「そうだね…怒ってる?」 「いや…怒らないけど…さ…」 取り出して眺めながら和真が苦笑いした。

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