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…
和真から番という言葉が出てきて驚いた。
番なんて…言葉にするのも嫌悪感でいっぱい
なんだろうと思っていたから。
「…カズ、本当にそう思う?」
「え、違った?」
和真が顔を曇らせる。
「俺はそのつもりだったけど…でも…」
「…俺はそれを望んでないと思った?
倒れたりしたから…」
「…まぁそうかな…」
「確かに…今はちょっとまだ…体が心に
ついてこれてない感じはあるけど…」
「いいんだ、それは気にしなくて!
ひいて当たり前だ、生涯を捧げるような事…
簡単に許せる訳ない…それに…っ!」
言いかけた瞬間、和真が柊生の頬をぎゅっと
両手で挟んで、噛みつくようにキスをした。
柊生は驚いて、目を閉じる間もなかった。
「柊生にそんな事言われて
嬉しくないワケないでしょ!」
「…カズ…」
「しっ!」
指の腹で唇を押さえられて
しつけをされる犬のように押し黙る。
「柊生がどう思ってるか知らないけど…
俺は、柊生が思ってる以上に柊生に溺れてるよ」
パーーーンと音がして
頭の中に花火でも上がった気がした。
目がチカチカして、柊生は何度か瞬きを繰り返す。
ー イマ…ナンテ、イッタノ?
その時の気持ちは到底説明なんてできない。
気のきいた言葉も返せない。
和真の胸の上で、ただ黙って和真を見つめて
和真も少し気まずそうに、柊生を見つめて…。
興奮で目眩がした。
ー 嬉しすぎて変になりそうだ
そんな目で、そんな声で、
そんな事言われたら
どうしたらいいんだ
「しゅう…クラクラする…」
和真が呼吸を乱して音を上げた。
「いや、こっちのセリフだって
カズが煽るから…」
「ラットでおかしくなりそう…」
ー こっちはとっくにおかしくなってるけど…
手も震えだして、さすがにまずいと自覚して
和真から離れた。
いつかと一緒だ、和真も震えてる。
「薬飲んでくる」
立ち上がった柊生の手を和真が引っ張って止めた。
「このままベッドに行こ」
「…でも」
「ドラッグでぶっ飛んでやる時みたいじゃん
……してみたくない?」
舌を出して、子供みたいなワクワク顔で
天使の笑顔を見せる。
言ってることは悪魔だけど…。
柊生はフラフラ和真に引寄せられて唇を重ねた。
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