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偉い…… 俺なんて母さんに 言われないと掃除なんてしない。 「三人共、ソファーに座って待ってて」 「今、お茶淹れるから」 的木先生はキッチンに行こうとした。 「俺、手伝いましょうか?」 雪村が《お前が?》みたいな 顔をして言った。 「春日井が手伝い?」 失礼な奴だなぁ。 「何だよ、その言い種は」 不機嫌な声が出た。 「雪村先生、貴也は 料理とか得意なんですよ」 「へぇ~」 予想通り、雪村は不思議そうに 俺の顔を見て来た。 「悪いか」 雪村に悪態をついた。 「じゃぁ、春日井君には 手伝ってもらおうかな。 二人はソファーで待ってて」 「分かった」 「分かりました」 二人の返事を聞いて、 俺と的木先生は お茶を淹れることになった。 ¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢ inキッチン 「春日井君はよく料理するの?」 「はい、両親がよく家にいないのと 一人っ子なのでよく作ります」 俺の両親はよく二人で 旅行に行くのが好きだ。 そのせいか、料理だけは上手くなった。 「共働き?」 間違いではない。 「それもありますけど、 よく二人で旅行に行くんですよ」 仲がいいのは結構だが 俺を置いてしょっちゅう 旅行に行くのはどぉなんだ? 「そうなんだ」 「まったく、困った両親なんです」 はぁ~とため息を吐いた。 「それは前からなの?」 昔はよく、 ばぁちゃん家に預けられた。 「小さい頃からずっとです。 一人で留守番するようになったのは 中学からで、その頃から 料理をするようになりました」 最初の頃はよく失敗したなぁ。 「的木先生は料理しますか?」 訊いてみた。 「うん。 うちは四人兄弟で、両親が 忙しくて構ってくれなかったから 長男の俺が作るようになったんだよ」 事情は人それぞれだ。 「偉いですね」 俺だったら両親に 文句を言うだろうなぁ。 「そんなことないよ…… 必然的にそうなっただけで」 「春日井君もそうでしょう?」 確かに間違っていない。 「ですね(苦笑)」 それにしても、二人で 長い時間いるとドキドキが止まらない。 「いけない、長話しちゃったね。 早く持っていかないと静がキレる」 すっかり、二人のことを忘れてた。 「二人が待ちくたびれてますね」 慎はそんなに怒らないと思うけどね。 「だよね…… 急いで淹れよう❢❢」 大慌てでお茶を淹れた。 ¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢ inリビング 「遅い」 雪村が開口一番に言った。 「悪い静、春日井君と 話し込んじゃった」 「何の話しだ?」 流石幼なじみ、 キレてる雪村にも普通だ。 「料理ができるようになった過程の話」 俺も的木先生も 自分で作れなきゃ 此処にいなかったかもしれない。 「あぁ、成る程」 それだけで雪村は納得したらしい。 「二人共、似たような過程だもんな」 待て、なんで雪村が 俺ん家の事情を知ってんだ? 「何で静が春日井君ん家の 家庭事情を知ってんだよ?」 的木先生も疑問に思ったみたいだ。 「こいつに聞いたから」 慎を指して言った。 「ごめん貴也」 勝手に話したことだろう。 「別にいいさ」 隠してるわけじゃないし 大きな秘密があるわけでもない。 「ん? 今〔二人共〕って言いました?」 雪村の言葉がひっかかったらしい。 「あぁ、言った」 的木先生のことは話さなかったのか。 「的木先生はどうして?」 慎にしたら疑問に思うよな。 「俺は兄弟の一番上だったから 忙しい両親の代わりにね」 「そぉなんですか……」 想像がつかないのだろう。 俺も慎も一人っ子だし、 特に慎はおばさんが何時も 家にいるから 自分で料理するような 状況になったことがない。 「今じゃ何でも作れるよ」 的木先生は何時もの笑顔じゃなく 悪戯が成功した子供のような顔をした。 「凄いですね」 二人で感心した声をあげた。 「あの今度、料理を教えください」 ぇ? ぅゎぁ!? 俺、何言ってんだ////// ¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢ 「何系の料理?」 内心慌てる俺とは反対に 的木先生は普通だ。 てか、マジで教えてくれるんだろうか? 「和食系を……」 洋食は割りと自信があるが和食は苦手だ。 「わかった。今度の連休においで」 ヤバい❢❢ 叫びたい程嬉しい////// 「ありがとうございます❢❢」 「春日井君は何系が得意?」 まさか訊かれるとは思わなかった。 「洋食系です」 和食は母さんやばぁちゃんに 作ってもらってたから自分で 作ることはなかった。 「的木先生は?」 聞き返してみた。 「春日井君が苦手な和食かな(笑)」 羨ましい…… 「和食は好きじゃないの?」 最もな質問だ。 「普通に好きなんですけど 自分じゃなかなか作らなかったんですよ」 「そっか♬✧*。 因みに笹山君は何系が好き?」 的木先生は慎にも訊いた。 「和食ですね(笑) でも、貴也が作ってくれる 洋食も美味しいんですよ」 おばさん、あんま洋食作んないもんなぁ。 って、慎❢❢ 何言ってんだよ////// 「それは是非、食べてみたいなぁ♬♡ ところで、よかったらご飯食べてって」 的木先生の手料理が食べられる!? 「おい、亮 こいつらの都合を訊いてから言えよ」 それまで黙ってた雪村が口を挟んだ。 まぁ、俺は例の如く 旅行に行ってるから別にいいんだけどな。 「僕、電話してみますね」 慎も的木先生のご飯食べたいみたいだし こんな機会、 もぉないかも知れないもんな。 「大丈夫?」 あぁ〜 おじさんがなぁ……(苦笑) 「わからないですけど、 とりあえず電話してみます」 「そっか、じゃぁ電話しておいで」 慎は携帯を持って廊下へ行った。 「お前はいいのか」 的木先生の隣に立っている 俺に雪村が言った。 「例の如く旅行中だからいいんだよ」 帰ったところで一人だ。 「そうなんだ。じゃぁ泊まってく?」 「亮、お前はまた、そぉやって……」 雪村の言葉は意味ありげだが何かあるのか? 「なぁ雪村、何かあるのか?」 一瞬、ビクってなったな。 「それは俺じゃなくて亮に訊け」 何で的木先生? そぉ言えば、さっきから 言動が少し可笑しいような気がする。 「雪村は何か知ってるんだろう?」 またビクってなった。 「知ってるには知ってるけど 俺の口からは言えないんだよ」 気になる…… 「それに、的木先生の 言動も少し可笑しいし?」 俺が言うと雪村がため息を吐いた後怒鳴った。 「思いっきり 疑われてんじゃねぇか……バカ亮❢❢」 雪村が的木先生をベシっと叩いた。 これには吃驚した。 「あいたっ」 叩かれたところをさすっている。 「お前がウジウジしてるからだろうが❢❢」 意味がわからない。 「俺は一服してくる」 そぉ言うとキッチンへ行ってしまった。 リビングに残された俺達…… 少しの沈黙の後、的木先生が話始めた。 「あのね春日井君、俺が今から 何を話しても引かないでね……」 さっきのとは違う疑問が頭を過った。 「わかりました」 「俺さ、好きな人がいるんだ。 同性でおまけに生徒……」 チクリと胸が痛んだ…… 「笑えるでしょう(苦笑)」 笑ったりしない。 よくわかる。 「まず、生徒を 好きになった時点で教師失格だよね」 「そんなことはないと思います」 先生が教師失格なら 俺は生徒失格だな(苦笑) 「教師だって人間なんですから 誰かを好きになるに決まってます。 それが生徒だっただけです」 「でも、年下で同性だよ?」 別に元から同性愛に偏見はないし 今は俺もそっち側の人間になりつつある。 「いいんじゃないですか? 教師と生徒じゃあまり 年の差ありませんし」 教師と生徒なんてよくある話だ。 「そっか、ありがとう」 「いいえ……」 お茶を一口飲むと真っ直ぐ俺の方を向いた。 「今の話を含めて 聞いて欲しいんだけど……」 何だろう? 「はい」 「俺は春日井君が好きなんだ//////」 嘘……夢じゃないよな? 「ごめん、気持ち悪いよね」 直ぐに返事を しなかったせいか勘違いされた。

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