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第一章・4話

 慌てて後を追う。  次々と人のなだれ込んでくる車内で、少しでも彼に近づこうと、一生懸命体を動かした。  運よく人の流れは公彦を清水の近くに運んでくれて、動き出した電車の中で幸運を噛み締めることができた。  いつもは、ただ苦痛な満員電車が、まるで豪華な観光列車。  いろんな臭いの混じる空気の中、清涼な香りが漂ってくる。  あぁ、清水の香りだ。  匂いの記憶というものは意外にしっかりしていて、公彦は人ごみから清水の香りを探し出すことができた。

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