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第一章・5話
そして、ちらちらと視線をよこす。
気づくかな、俺に。
気づいてくれるかな。
そう考えるうちに、ふと清水の表情が曇った。
眉根を寄せ、わずかに睫毛を伏せる。
もじもじと動き、頬に赤味がさしている。
こんな顔をする女性を、満員電車の中で見る事はしばしばある。
そして、その原因は。
公彦は、清水の周囲に目を配った。
素知らぬ顔をして立っている、中年の男。
手の先に目線をやると、思ったとおりだった。
男の手は清水のお尻にぴったりと張り付き、撫で回しているのだ。
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